秋も深まり、本格的な紅葉シーズンを迎えている。
しかし、その主役とも言えるモミジにある“異変”が起きている。
取材すると、縮んだり落ちたりしたモミジの葉っぱが。
さらに、秋にサクラが咲いているという。
日本の四季はどうなるのか?
「newsランナー」徹底取材!いま自然に起きている異変に迫る。
■秋本番の紅葉シーズン 永観堂では3000本のモミジがライトアップ
11月に入り、気温も一気に下がった京都。
記者リポート:京都の永観堂では、ライトアップの準備が進んでいます。いよいよ紅葉シーズン突入です。
今週末からは境内の3000本のモミジがライトアップされ、幻想的な光景が広がる。
まさに秋本番の紅葉シーズンに!しかし…ことしは過去にない異変が起きているというのだ。
そこで取材班が向かったのは、紅葉の名所、京都・嵐山にある鹿王院。
足利義満が1379年に建立した臨済宗の寺院で、「鹿王院庭園」は京都市の名勝にも指定されている人気の紅葉スポットだ。
この庭を50年以上見てきた吹田さんに案内してもらうことに。

■葉っぱが縮れ、茶色くなったり白くなったり…ライトアップは1週間遅れに
境内には…お見事!真っ赤に色づいたモミジ!かと思いきや…。
鹿王院 吹田陽子さん:葉っぱが少し縮れているというか、暑さと雨の少なかったせいで、枝に水分が行き届かずこういう状態に。
(Q.日焼けして落ちる葉も?)
鹿王院 吹田陽子さん:ありました。ありました。今でもこれ、落ちてるんちゃいます。
案内ボランティア 石塚良二さん:これも病気ですよ。粉吹いたような、白いのが付いている。残念やな。
京都では、ことし猛暑日と熱帯夜がともに60日以上に。
その暑さの影響か、茶色くなったり白くなったりする葉っぱがあり、中にはピークを迎える前に落ちてしまったものも…。
影響があるのは一部の木ということですが、鹿王院では毎年行うライトアップを、1週間遅らせて実施する予定だという。
鹿王院 吹田陽子さん:クリスマスぐらいの時に、きれいに紅葉が見られる時があり、変だなと思いますけどね。自然のことですしね、耐えしのぐしかないね。

■箕面市・名物モミジの天ぷら モミジの収穫量が減少「このまま天ぷら屋さんを持続できるか」
この異変は京都以外でも…取材班が向かったのは、大阪府箕面市。
ここの名物は…食用のモミジを、低温でじっくり揚げた「天ぷら」だ。
客:しっかり味がついてておいしいです。止まらない。甘みもあるんですけども、塩辛みもあってバランスがとれている。
店主の上原さんにモミジの収穫量について聞いてみると…。
河鹿荘 上原結香里さん:(モミジの)取れ高は年々減ってますね。
(Q.去年と比べて?)
河鹿荘 上原結香里さん:全然違いますよ。半分までは行かないが、それぐらいは減っている。
お店で使用しているモミジの木を特別に見せてもらうと…。
河鹿荘 上原結香里さん:こちらの木になります。黄色くは全然なってないですね。これだけ暖かいと。ぐっと冷え込めば、一気に色づくんですけど。
モミジが色づくには、本格的な冷え込みがまだ来ていないため、色づいていなかったり、すでに枯れてしまったりしたということだ。
河鹿荘 上原結香里さん:先端がこっちも茶色くなってるじゃないですか。枯れちゃってますしね。
(Q.枯れている、色の変わっているモミジは?)
河鹿荘 上原結香里さん:捨てます。使えないので破棄です。見に来てくださってる方が、『きれいやな』って見ていただけて、この子らの役目は全うかな。
天ぷらに使用するモミジは、1年以上塩漬けしてから提供していて、来年以降の営業に不安があると話す。
河鹿荘 上原結香里さん:モミジの収穫量も減ってるし、このまま天ぷら屋さん持続できるのかな。モミジがなくなると、必然的に商売ができなくなっちゃうので。

■猛暑の影響で枝ごと枯れたモミジ
なぜ木々にこんなことが起きているのか。
京都府立植物園の樹木医・中井さんに教えてもらった。
京都府立植物園樹木医 中井貞さん:この辺りもちょっと影響が出ているのかな…。
葉が白く枯れた状態のモミジ。強い日差しと猛暑によって、水を吸い上げる根が育たなかったことが原因と考えられるそうだ。
そして別の場所では、より深刻な状況も…。
京都府立植物園樹木医 中井貞さん:あちらには、だいぶ傷んだ葉っぱが付いてる状態が見ていただけます。
記者:確かにしわくちゃになって…。
見つかったのは、枯れたまま枝に残ったモミジの葉。
京都府立植物園樹木医 中井貞さん:枝にも影響があって、枝自体が枯れていってると考えられる。
(Q.ここまでなることはない?)
京都府立植物園樹木医 中井貞さん:ないですね。かなりひどい状態。
今年の猛暑はあまりにもひどく、落葉樹なのに葉を落とすことができず、枝ごと枯れる現象が見られるという。
では、今年はきれいな紅葉は見られないのだろうか?
京都府立植物園樹木医 中井貞さん:きれいになる可能性はあります。大分気温が下がってきてるので、これから傷む葉は少ないと思う。今残ってる葉っぱがきれいに色づくかどうかかなと。

■異常な暑さの影響で返り咲きする桜
そして、気象の変化は日本を代表する“あの植物”にも影響を与えていた。
京都府立植物園樹木医 中井貞さん:ことしなんかは、“狂い咲き”してる桜の個体が多いと、随分聞いた。
(Q.京都府立植物園でも咲いた?)
京都府立植物園樹木医 中井貞さん:咲きました。
春に咲くはずの桜が、異常な暑さの影響で、この時期に咲くというのだ。

■兵庫県で発見 「まさかまさか」“季節はずれの桜”
季節外れの桜は、本当に咲いているのか?
取材班は、桜の名所がある兵庫県西宮市に向かった。
スタッフが何本もの桜の木を確認するが、なかなか見つからず、諦めようとしたその時!
記者リポート:あっあっありました!1個だけですけど、桜のつぼみが開いてます。
ちょっと季節はずれだと思うが…冬に入る前に咲いた桜。
京都府立植物園の中井さんに確認すると「ソメイヨシノで間違いないだろう。“季節はずれの桜”と言っていい」ということだ。
近くの住人:あー!咲いてますね。えー知らなかった。まさかまさかです。
近くの住人:これから寒くなるけど、あったかい気持ちになりますね。
(Q.桜って好き?)
こども:さくらしゅき。
秋の紅葉、春の桜、これまでの当たり前の景色が見られなくなる日がくるのだろうか?
(関西テレビ「newsランナー」2025年11月11日放送)

