秋の行楽シーズンを迎え、富山県内の観光地では増加するクマの出没に対する安全対策が本格化している。世界遺産の相倉合掌造り集落や紅葉の名所として知られる黒部峡谷鉄道では、観光客と野生動物の接触を避けるための独自の取り組みが進められている。

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相倉合掌造り集落では鈴による接触回避

五箇山の相倉合掌造り集落では、クマに人間の生活圏だと認識してもらうための工夫として、数年前から展望台へ向かう歩道などに鈴を設置している。

世界遺産・相倉合掌造り集落保存財団の中島仁司事務局長は「人が通っていると知らせることでクマと人間が遭遇することを避けている」と説明する。その効果については「効果はあったと思う、勤務時間中でのクマの目撃は一件も聞いていない。市に問い合わせてもクマの目撃の事例はなかった」と手応えを語った。

黒部峡谷鉄道も対策強化

紅葉が見頃を迎えている黒部峡谷鉄道でも、クマ対策が強化されている。今月5日には宇奈月温泉のホテルからクマが目撃されたこともあり、対策の重要性が増している。

黒部峡谷鉄道 提供
黒部峡谷鉄道 提供

近年のクマ出没増加を受け、黒部峡谷鉄道では昨年から猫叉駅に電気柵を設置したほか、黒薙駅ではゴミ箱を撤去するなどの対策を実施した。

黒部峡谷鉄道営業部の谷本悟さんは「山間部の駅では飲み物の自販機以外は飲食物の販売はしない、ゴミ箱は置かないなど動物を寄せ付けない対策をしている」と述べ、「黒部峡谷は今紅葉が見ごろ、安心して来てもらえるように」と話している。

観光地としての魅力を維持しながら安全を確保するため、これらの施設では今後も継続的にクマ対策を行っていく方針。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
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