宮城県南三陸町で、地元漁師が採取した巻き貝が「サザエ」であることが確認された。
公的な統計では宮城県内でサザエの漁獲記録はなく、三陸沿岸で確認されるのは初めてとみられる。
地元の研究機関が生息状況を調査中で、気候変動に伴う分布の北上を裏付ける可能性がある。
10月中旬、南三陸町戸倉地区で地元漁師が採取した巻き貝を鑑定したところ、「サザエ」と判明した。
調査を行う南三陸町自然環境活用センターは、潜水による詳しい調査を実施中だ。
水産庁の「海面漁業生産統計」によると、サザエの漁獲量は青森・秋田・山形の日本海側各県では毎年数十トン規模に上る一方、宮城県は「0」または非公表が続いている。
公的統計上、宮城沿岸でのサザエ漁獲はこれまで確認されていない。
サザエの分布は南限が鹿児島県、太平洋側の北限は茨城県、日本海側では北海道南部とされる。
今回の発見は、その北限をさらに押し上げる可能性がある。
南三陸町自然環境活用センターでは、
「宮城県内でサザエの漁獲などがあれば情報を寄せて欲しい」
としている。
南三陸町ではここ数年、暖水性の「イセエビ」など南方系の生き物の水揚げが急増している。
今回の調査結果が三陸の海の変化を示す手がかりになるか注目される。