聴覚障害者の国際大会、デフリンピックが11月15日に開幕する。日本で初めて開かれるこの大会に、鹿児島県内在住の2人の選手が出場する。開幕を前に、2人に意気込みを聞いた。
3度目の出場 バレーボール日本代表・尾塚愛実選手
「今はドキドキワクワクと緊張と、いろんな(感情が)」と語るのは、笑顔が印象的なデフバレーボール女子日本代表の尾塚愛実選手(28歳)だ。鹿児島県阿久根市出身の尾塚選手にとって、4年に一度開かれるデフリンピックは3回目の出場となる。
デフバレーは一般の6人制バレーとルールは同じだが、選手は補聴器を外して音が全く聞こえない状態でプレーする。
「視線とかジェスチャーとか手話を使って、視覚的なサインで情報を掴んでチームで連携しています」と尾塚選手は説明する。唇の動きを読んで質問に答える彼女は、生まれてまもなく感音性難聴と診断され、補聴器をつけても音はほとんど聞こえないという。
小学3年生でバレーを始めた尾塚選手は、「何か一つでも誰にも負けたくない」という思いで練習を積み重ね、2016年にデフバレー日本代表に初めて選ばれた。
「デフバレーボールの代表として活動してきて2025年で10年目。今回は今までで一番特別な大会」と語る尾塚選手は、2017年のデフリンピックで16年ぶりの金メダル獲得にエースとして貢献した。前回大会は新型コロナの影響で無念の準決勝棄権となったが、2024年6月に沖縄で行われた世界選手権では優勝している。
今大会も金メダルに期待がかかるが、尾塚選手は東京でのデフリンピックを最後に代表活動を引退すると決めている。
「うまくいかないときも、周りの人に…いつも周りの人たちにたくさん支えてもらったこともあった。最高のパフォーマンスを発揮して、周りの人たちに感動を与えられるように頑張りたいと思います」と決意を語った。
女子バレーには8カ国が出場し、予選ラウンドは11月16日に始まる。
初のデフリンピック出場 陸上・島倉杏奈選手

陸上競技女子と男女混合の4×400メートルリレーに出場するのは、鹿児島国際大学3年の島倉杏奈選手だ。神奈川県出身の島倉選手は、中学1年生の時に陸上を始めた。
「陸上は自分の成長を後押ししてくれるもの、背中を押してくれる存在だと思っています」と語る島倉選手は、2025年5月に行われた日本代表選考をかねた大会で、200メートルで7位に入り、初めてデフリンピックの日本代表に選ばれた。
今回は4×400メートルでの出場となるが、「200mはずっと走ってきたんですけど、400mとなると2倍になるわけですよね…苦しいです!」と率直に語りつつも、気合いは十分だ。
「リレーのメンバーで決めた目標がメダル獲得なので、それに向かって『頑張らなくちゃ!』という気持ちで闘志を燃やしています」と意気込みを語った。
島倉選手の最初のレース、男女混合4×400mリレーは11月17日に行われる予定だ。
