7日、高市早苗首相が就任後初となる衆院予算委員会に向けて、午前3時という“異例”の早さで首相公邸に出勤、勉強会を開いたことが波紋を広げています。

野党は、「総理のレクは大変多くの方に影響を与える」と指摘。高市氏は、予算委員会で使用する答弁書が出来上がるのが、午前3時ごろになると言われたため致し方なかったとしながらも、「私がどんどんペン入れして直しちゃうものですから、それを手伝ってくれた秘書官、宿舎から公邸までついてきてくれたSPさんとドライバーの方にご迷惑をかけたと思っております」と回答しました。

総裁選で「ワークライフバランスという言葉を捨てる」と決意表明した高市氏。自民党内からも、「いいパフォーマンスをするには、休憩は必要ではないか」と声が挙がる中、“働き方”が問われています。
“早朝の勉強会”影響は数十人から百人単位の可能性も…
――今回、高市氏が行った“勉強会”とはどういったものなのですか?
フジテレビ 松山俊行解説委員長:
予算委員会の前に、どういう質問が来ていてどういう回答をすべきかとすりあわせる、政治の世界では“レク”と呼ばれるのですが、事前の説明と調整を行う会と。
ただ、秘書官が中心になってその日の予算委員会のすりあわせをするのですが、秘書官というのは各省庁からそれぞれ8人、その後ろに秘書官付という方もいたりして、結構首相官邸の関係者がそこにからんでくる。また、各省庁の代表としてきているので、秘書官から各省庁に問い合わせが電話などでいったりします。

谷原章介キャスター:
午前3時からですか…。
フジテレビ 松山俊行解説委員長:
そうですね、例えば高市氏が「赤(修正)を入れた」と言っていましたが、赤を入れて変わった部分については、一度各省庁の担当部局が挙げてきた回答案が変わっているということになりますので、そこの部分はこれでいいのかと各省庁に問い合わせなくてはいけない。
その時間、どこかで待機して担当の人が確認をしなくてはいけないので、実際には背景で動いている人は数十人規模、場合によっては100人単位の人が動いている可能性もあります。

――高市氏は首相官邸に行くよりは、首相公邸の方が、影響が少ないと考えたと説明していましたが
松山俊行解説委員長:
ある意味私的な空間で、自分と本当に身内というか周辺の人だけですりあわせを行いたいので公邸で行うということだったと思いますが、実質的にはその背後で待機している人というのはいますので、そこは霞が関の各部局の関係者も含めると、多くの人が動いていると思った方がいいと思います。
質問書の提出遅れなぜ?日程の決定が要因か
早朝から勉強会を開いた理由として高市氏は、予算委員会前日の夕方の時点で質問がそろっておらず、答弁書に目を通すことができなかったことを挙げていました。

――野党の質問書提出が遅れたことが要因なのでしょうか?
松山俊行解説委員長:
通例、国会のルールでは予算委員会の2日前の正午までに野党の議員は質問書を出してくださいとなっているのですが、今回の場合、その2日前の時点でようやく予算委員会の日程が決まったという事態でしたので、決まった瞬間に出すわけにいかない、どういう人が質問するかも決まっていない状態でしたので、そういう意味では2日前の正午というルールは、今回守るのは厳しかっただろうと。
――予算委員会が開かれることはわかっているのだから、事前に準備することはできない?
もちろん事前に準備している部分もあると思うのですが、ただ、ギリギリまで事態が動いている時って、新しい内容を質問の中に盛り込んでいきたいという気持ちも、議員心理としてはあると思うんです。
ですから、ある程度の質問が出来上がっていても、最後に追加の質問の分については、なるべく遅くに書いて提出したいという意図はあるのかと。

スペシャルキャスター カズレーザー氏:
そもそも、質問してその時点で答えるでは駄目なんでしょうか。やりとりが公開されていれば、それが予算委員会でやるかどうかというのは、我々からしたらどちらでも良くて、質問して行動が見たいのではなく、議論が前に進んでいるのを見られればいいから、リアルタイムでやりとりをしてもらって、それでもすりあわせがうまくいかないところ、解決しないところを予算委員会で面と向かってやればいいのになと。
松山俊行解説委員長:
実際、そういう意見は国会議員の中からも出ていまして、国民民主党の玉木雄一郎代表は、党首討論であれば紙なんか用意しないでその場でやるのだからと、それを頻繁にやった方がいいのではないかと。
ただ、様々な政策の細かい部分で「間違ってはいけない」と政府側は考えますので、伝統的に国会の中では各省庁の担当部局に間違いのない答案を作ってくれと。その世界でいう「短冊」と言うのですが、省庁の部局があげてくる「この言い方でやってください」というのを、(用意された)紙を見て読み上げるというのがこれまでの通例になってきたと。

――予算委員会が開かれている間は毎日このスケジュールになってしまう?
松山俊行解説委員長:
初回だったからということで、今回は念には念を入れて早めの勉強会で準備したということだと思いますが、2日目、3日目くらいになってくると、同じような質問に対する答弁が出てきますので、そこは時間が短縮できると担当の役所の方は言っています。
ただ、それでも不規則な質問や想定されていない質問というのはまた新たに出てくると思いますので、それに対する準備は同じように必要になってくる。

谷原章介キャスター:
いずれにしても、総理の周りというのはどうしても…国の全てをつかさどっていますから、総理が早く起きれば早く登庁して働かなくてはいけないという人が多いじゃないですか。そこも含めて、働きたい方が働くことと、もしくは働かなければいけない状況に追い込まれるのはまた違うと思う。やはり、今までみたいな画一的にみんな休むという国の方向性が、急に働ける人は働くとなったときに、色々なハレーションを起こす可能性もあるので、あくまでも今の総理の働き方をもう少し抑える方向にしていただいた方が、ご本人の健康にも、周りの人にもいいと思いますね。
(「サン!シャイン」11月10日放送)
