高市政権の最重要政策の一つ「外国人政策」。
11月4日、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」が初めて開催され、議長の木原官房長官を含め、ほとんどの閣僚が出席しました。

高市首相は、深刻な人手不足における外国人の人材活用やインバウンド観光の重要性を指摘した上で、2026年1月をめどに、すでにある総合的対応策を改定し、基本的な考え方や取り組みの方向性を示すとしました。

その外国人政策の“司令塔”が…父親がアメリカ人で、母親が日本人の小野田紀美外国人共生相(42)です。
小野田大臣はどんな手腕を見せるのでしょうか?
外国人政策 主な3つの問題
会合後、高市首相は小野田大臣に3つの指示を出したということです。

・不法滞在や「経営・管理ビザ」などの出入国管理
移住目的で経営実態のないペーパーカンパニーなどを設立する人の増加が問題に。
「経営・管理ビザ」の保有者数は2025年6月末時点で4万4760人。
・観光客のマナー違反などオーバーツーリズム対策
ゴミのポイ捨て、騒音、私有地への無断侵入などの問題
・外国人による投資目的の不動産保有
海外からの日本不動産への投資額は2024年9397億円で前年比63%増加。
民泊用にリフォームし外国人旅行者に貸し出す事例も。

――高市首相は大きな問題になっているところを具体的に指示した?
政治ジャーナリスト 青山和弘氏:
問題はこれだけでもないんですね。例えば、日本国籍を取るのがあまりにも簡単すぎるんじゃないかとか、出入国・在留管理のあり方とか不法滞在の問題、とにかく多岐にわたっている。自民党以外の政党もそうですけれども、こうした外国人の問題、日本は移民政策をとっていないからということで、非常に緩く、あまりちゃんと向き合ってこなかった。高市政権としては柱としてやるということですが、今までちゃんと向き合ってこなかったツケが一気に出ていると言っていいと思います。
なぜ外国人政策の問題解決が進まないのでしょうか?

これまで、不法滞在や「経営・管理ビザ」など出入国の管理は「法務省」が、観光客のマナー違反などオーバーツーリズム対策、外国人による投資目的の不動産保有は「国交省」が対応しており、それぞれの政策に各省庁の対応がバラバラで統一感がなく、関係省庁の縦割りが課題となっています。
そこで、小野田大臣が「外国人政策の司令塔」として情報を一本化することで各省庁を連携。

政治ジャーナリスト 青山和弘氏:
統一的にこの政策を進めていかないと。警察の方でどういう取り締まりをやるのかとか、ビザの出し方だったり、それぞれの問題も各省庁にまたがっているんですね。例えば、農業にも外国人の労働者いるわけだから、じゃあ農水省はどうなんだとか。
そういったところがそれぞれバラバラにこれまで対策を取っていたので、統一感もないしスピードも遅かったというところで、今回は小野田さんがそのセンターピンになって話を進めるという体制を整えたというところです。

――小野田外国人共生相の期待値は?
ジャーナリスト 岩田明子氏:
総裁選でもキャプテンをやっていましたからね。この「束ねる力」っていうのは実証済みだとは思うんですけれども、これまで関係省庁縦割り行政っていうのはずっと長年言われてきたことで、菅内閣の時も縦割り打破ということをやろうとしましたけど、なかなか解消されるに至っていませんので。関係省庁と縦割り打破というのをいかにしてやっていくかというところの手腕も問われてくると思います。
小野田大臣 司令塔の理由
青山氏によると小野田大臣の司令塔の理由の1つ目は「発信力」。
外国人政策について以前から政府を追及してきました。

2つ目は「シンボル」。
総裁選の「チームサナエ」のキャプテンを務め、高市首相からの信頼が厚く、自民党の外国人政策の解説動画にも登場しています。

政治ジャーナリスト 青山和弘氏:
女性であるということで注目を集めているということもありますし、歯切れのいい保守派の論客ですから、発信力というのはものすごく高い。そういう意味ですごく注目されます。
特に中心的な高市政権の政策ですから、そういったところに発信力があるというのは大事なことなんですね。
そして、「チームサナエ」のキャプテンという形でやはり一番高市さんの考えに近いわけですよね。そういう意味では高市さんとしても安心して任せられる。そういう高市内閣のシンボル的な存在として使っていこうという思惑もあったと思います。
外国人政策チームのキーパーソン
小野田大臣に続く外国人政策チームのキーパーソン、2人目が“小野田大臣の右腕”鈴木隼人内閣府副大臣(48)です。

政治ジャーナリスト 青山和弘氏:
鈴木さんは今回ものすごく希望してこの外国人政策の副大臣になったんです。実はしゃべりが立つというタイプではないんですが、官僚出身でもありますし理系なので、非常に実務能力が高い。
小野田さんが「発信力」であり「シンボル」であるとしたら、それを後ろから支える、法案など文章作成・各省庁との調整に携わるには、ある意味最適な人物をこの補佐役としてつけたということだと思います。
3人目のキーパーソンが、“政策のアドバイザー”外国人政策担当・松島みどり首相補佐官(69)です。

政治ジャーナリスト 青山和弘氏:
松島さんは法務大臣の経験者なので、ビザとか入国管理の問題というのは知見があるわけですね。
ただ一方で、松島さんって保守というよりはややリベラルなところに立ち位置があって。法務大臣の経験者でもあるし元朝日新聞の記者さんでもありますので、そういった意味では小野田さん鈴木さんがどんどん規制を強化しようという中で、少し抑制的な役割も果たすんじゃないかと思われていて、そのあたりのバランスがどうなるのかが、今後この政策がどう進むかの大きな焦点になるとみられています。
(「サン!シャイン」11月5日放送より)
