「増産」から「需要に応じた生産」へ
コメ政策をめぐって、石破政権では「増産にカジを切る」との方針が打ち出されたが、高市政権の鈴木農水相は「需要に応じた生産」を掲げた。
石破前首相は「5キロあたり3000円台でなければならない」と表明し、小泉前農水相のもと、備蓄米の放出で価格の安定が図られたが、鈴木氏は就任会見で「価格はマーケットで決まるべきもので、政府がコミット(関与)すべきでない」との考えを示している。

農水省が10月末に公表した2026年産の需給見通しでは、主食用米の生産量を711万トンと見込んだ。この数字は、産地の作付け計画の目安となるもので、大幅な増産となった2025年の生産量見通し748万トンと比べると、約5%減少することになった。
放出した備蓄米59万トンについては、放出先の業者からの買い戻しや市場での買い入れを、今後の需給状況を見定めたうえで行う方針だ。
“高止まりを助長しかねない”との声も
「おこめ券」配布をめぐっては、コメ価格の高止まりを助長しかねないとの声が上がるほか、家計支援が一時的効果にとどまる可能性がある一方で、自治体の事務費や郵送費などがかさむという課題も指摘されている。
長期的視点でのコメ政策のあり方が問われるなか、「おこめ券」という手段が、物価高対策としてコストに見合う効果を発揮できるのか、視線が集まることになりそうだ。
(フジテレビ解説副委員長 智田裕一)
