中国発の大手ファストファッション通販サイトが、フランス・パリの老舗デパートに世界初の常設店舗をオープンした。5日には開店を待ちわびた人々が長蛇の列を作った。一方、同通販サイトは、劣悪な労働環境や環境破壊への懸念があり、デパート内の複数のブランドが、抗議の意志を示し撤退。さらにデパート前では抗議デモが発生した。

格安ファッション求めて開店前から長蛇の列

5日、店の前に長蛇の列ができていたのは、フランス・パリの老舗デパート「ベー・アッシュ・ヴェー・マレ」だ。

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開店時間を迎えると、待ちかねた客らが続々と店内に入ってきた。

中国の大手衣料通販サイト「SHEIN」の商品がその場で購入できる世界初の常設店舗が、パリにオープンした。

取材班:
店内は非常に混雑していて皆さん両手一杯、カゴいっぱいに洋服を詰め込んでいます。

客:
格安だから来たの。経済的に余裕がないからここで買うの。

客:
物価はどんどん上がるのに、給料は上がらない。安くて気にいった物が手に入るなら、私はこの店を選びます。

取材班:
商品にQRコードが付いていて、スマホで読み取るとインターネットで商品を確認することができます。値段も全て同じでした。こちらの商品、Made in Chinaとなっています。

SHEINはシンガポールに本社を置き、製品の多くを中国で生産している。

サイトを見るとパーカーが約1300円、30点セットのアクセサリーが400円台で買えるなど、圧倒的な安さと豊富な品揃えで日本でも利用者が拡大している。

20代:
安いし届くの早いし、種類がめっちゃある。

20代:
2、3着だったら失敗しても安いからいいかなって。

19歳:
今日はいてるズボンもSHEIN。いつもは全身SHEINとかもある。

若い世代から支持を集める一方で、こんな声も上がっていた。

取材班:
SHEINというサイトはご存じですか?

50代:
知ってます。

取材班:
買われたことは?

50代:
ないです。安すぎて信用できない。

50代:
写真と違って届いたらペラペラとか、「何これ?」みたいな結構ハズレはある。

労働環境や環境問題に抗議の声

そして、パリではSHEINが老舗デパートに出店することをめぐり、物議を醸す事態となっていた。

抗議グループ:
撤退しろ!撤退しろ!

取材班:
百貨店の前には多くの人たちが行列を作る一方で、出店に抗議をする人たちも集まり始めています。

抗議グループ:
SHEINがパリの中心にできることは反対です。

SHEINが労働者に劣悪な条件を強いたり、環境への悪影響も指摘されていることから、デパートの前には抗議する人たちが集まった。

店内に入り込みプラカードを掲げて抗議した人たちが、ガードマンに排除される場面もみられた。

さらにデパートの複数のブランドが、抗議の意志を示し撤退するなど影響が広がっている。

抗議する人:
誰もが高級品を買えるわけではないが、商品はきちんと選ぶべき。

抗議する人:
SHEINのように品質も価値観も、あらゆる面で問題あるブランドが存在すること自体、私は本当に恥ずべきことだと思う。

また1日、フランスの規制当局はSHEINが販売していた商品の中に「規制対象となる幼女の人形」を確認したと発表した。当局は「児童ポルノにあたることは疑いの余地がない」と指摘し、政府はSHEINの通販サイトを一時的に停止する手続きを始めた。

華々しい店舗オープンの一方で、パリ市民の反発が起きていた。

フジテレビ・立石修元パリ支局長:
このBHVというデパートは、1800年代につくられたパリの古き良き伝統や文化を象徴するような存在です。そこに中国の超大型ファストファッションが乗り込んできた。それに対する警戒感や嫌悪感を抱くパリ市民もいると思います。ただ一方で、安価な価格というのは、生活の苦しい賃金の上がらない若者とか移民の人たち、そういった方々にとって非常に魅力的に映る。だからこのような混乱というか、矛盾が起きているのではないかと思う。
(「イット!」11月6日放送より)

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