投資話は次々と…
被告が持ちかけた話は、「枠」への投資だけではなかった。
被告は、2015年には「ビートルズが録音に使ったピアノが手に入る」として、ピアノを転売するための購入費用として、原告に1600万円を求めた。
さらに、同じく2015年、「芸能株の運用により、1〜2カ月で8倍の利益を出せる」などともちかけ、原告は2000万円を現金で渡したという。
その上、美容化粧品会社との協業を持ちかけ、1500万円を要求したこともあった。

裁判所は、ピアノ購入や会社設立に関する一部の行為については詐欺とは認めなかったが、美容事業参入名目と芸能株投資名目については「投資名目は虚偽の名目と認められる」などとして、詐欺と認定した。
6.5億円超の支払い命じる判決
東京地裁は、原告が被告に金銭を交付した時期や方法、メモの内容、被告の説明の変遷などを詳細に検討した。
特に「枠」への投資名目については、被告が金融庁の指導を受けたと虚偽の説明をしたと認定し、裁判所は「常識では考えられない虚偽の説明をして追及をかわそうとした」と指摘。「被告は虚偽の説明を繰り返し、原告の信頼を利用して金銭を詐取した」と認定した。
そして10月、東京地裁は被告に対し、6億5583万6000円の支払いを命じる判決を言い渡した。
かつての友情が、投資話という名のもとに利用された今回の事件。再会から始まった金銭のやりとりは、信頼の裏切りと法的責任の認定という形で終止符が打たれた。
