サッカー明治安田J1アルビレックス新潟は10月26日の試合を前にJ2降格が決まってしまった。降格決定直後「チーム強化・組織運営に関しての責任は自分にある」と語った中野社長。クラブが再起を目指すためには監督の選考や選手の補強など多くの課題が横たわっている。
■アルビ J2降格が決定「迷い生じさせてしまった」
「我々来季J2ということが決定した。チーム強化・組織運営に関しまして、私の責任は非常に重大だと思っています。その辺を真摯に反省し、本当にお詫びを申し上げたいと思います。重ねて申し訳ございませんでした」
25日、アルビのJ2降格が決まり、謝罪した中野幸夫社長。
この日、残留争いをしていた横浜F・マリノスが勝利し、勝ち点を伸ばしたため、翌日の試合を待たずにアルビの降格が決定したのだ。
約1時間にわたって行われた会見で、寺川強化部長は降格の要因について「この何年か新潟のサッカーを続けてきた。新しく監督も変わり、選手も入れ替わる中で、なかなか結果がついてこない。サッカーというものを統一できなかったというか、迷いを生じさせてしまったのかなと」と話した。

■難航した監督選び 主力も離れる中“新潟史上最高”掲げ挑むも…
アルビが続けてきたのは、アルベル監督時代に築いた、ボールを保持しながらチャンスをうかがう“ポゼッションサッカー”。
その後、松橋力蔵監督がこれに磨きをかけ、去年はYBCルヴァンカップで準優勝。しかし、リーグ戦では最終節まで残留を争うことに。
クラブは引き止めを図りますが、松橋監督は退任。守護神の小島や長倉、トーマスデンといった主力もチームを離れた。
監督の後任選びは難航…アルビのスタイルの継承を掲げるものの、新監督が決まったのは今季に向けチームが始動するわずか半月前のことだった。
就任したのは、トップチームの監督は未経験の樹森大介監督。
「午前中のミーティングで目標を選手たちに伝えた。具体的に言うと“新潟史上最高へ”という言葉をかけた」と意気込みを語るも、移籍加入・レンタル移籍から復帰したのは、ほとんどがJ2・J3のカテゴリからの選手たちだった。
これまでのアルビのスタイルに球際の強度や攻守の切り替えの早さなどを求め始まった今季
しかし、“新潟史上最高”のスローガンとは裏腹に、チームは勝ちきれない状況が続き下位に低迷。
長谷川元希も「何回も勝利できるチャンスを自分たちの手で逃している」と話す場面も見られた。

■監督交代もチームの状態は悪化…4試合を残しJ2降格が決定
そして、シーズン開始から4カ月あまりで樹森監督の退任を発表。
寺川強化部長は「初めて監督をやるというのも分かって起用した部分ではあるので、彼のリーダーシップというか、選手を引っ張っていくという部分では少し弱い部分があった」と話していた。
そして、樹森監督の後任には、当時トップチームのコーチを務めていた入江監督が就任することに。
入江監督は「やはり、今年苦しいかもしれないが、絶対落とせないなという思いがものすごく強い」と意気込んだ。
入江監督の就任で浮上のきっかけをつかみたいアルビだったが、チームの状態は悪化していく。
夏には稲村・秋山など攻守の要となっていた選手たちが大量にチームを離脱。レンタル移籍を含め7人の選手を補強するが、勝ち点3への道のりは遠く、入江監督就任後、勝利がない状態が続く。
それでも、サポーターからは残留を信じて熱いエールが。
堀米悠斗主将は「今は、やはりブーイングされるよりもこっちのほうが僕自身は悔しい」とこぼす。
しかし、願いは届かず26日の試合を待たずにJ2降格が決まってしまったアルビ。
中野社長は「色んな反省点はあると思う。そこをまた振り返って、次年度につなげたいと思うが、まずは4試合きっちりやらせてもらって、振り返って、次に向かって考えていかなければ」と話した。

■降格決定後の神戸戦 ビッグスワンには2万人超のサポーター
会見から一夜明けた26日。小雨の降るホーム・ビッグスワンには2万人を超えるサポーターの姿が。
「降格は切ない。でも、せっかくなので最後までみんなに頑張ってもらおうと思って来た」
「あとはやるのみなので、一生懸命戦ってもらって、1勝でも2勝でもできたらいいなと願っている」
「まだJ1にいたかった。(残りの試合も)諦めないで最後までプレーしてほしい」
「最終節の最後の1分1秒まで頑張ってください。応援していると伝えたい」
大好きなアルビが最後まで頑張る姿を見たい…そう話すサポーターに見守られ迎えた神戸との一戦。
前半終了間際の神戸の大迫のゴールなど2点を追いかける展開となるが、この日のアルビは最後の最後まで諦めなかった。
■残り3試合…堀米キャプテンの決意「やれることはすべてやりたい」
後半29分に島村のシュートで1点を返すと、試合終了間際には長谷川のスルーパスを受けた若月のJ1初ゴールで同点に追いつく。
ただ、反撃はここまで。引き分けに終わった試合の後、サポーターのもとへ向かう選手たち。
一部のサポーターから浴びせられた心ない言葉に普段は冷静な早川選手が反論する場面も見られた。
大好きなクラブの未来を思うなら、様々な葛藤・重圧の中で戦う選手たちにかける言葉は次に向かって立ち上がるための叱咤激励であってほしい…
堀米主将は「もう降格という結果は出ているので、それでも(サポーターが)見に来てくれる、声を出してくれる理由はやはり立ち上がるところを見たいから、こういった経験を経て、このクラブは、このチームはどういったものを見せるのか。やはり一番はプレーで示さなきゃいけないと思う。やれることはすべてやりたい」と決意を語った。
残り3試合は来季のアルビを占う意味でも重要な意味を持っている。

 
       
         
         
        