殺傷能力があると認識したうえで「おもちゃの銃」を所持していたなどとして、警視庁が初の逮捕に踏み切った。ネットやゲームセンターで流通しているが、見た目が「おもちゃ」でも危険性が高く、警察は2025年末までの回収を呼びかけている。危険な「おもちゃの銃」を見分けるポイントを聞いた。
「違法なものではないかと思っていた」容疑認める
きらびやかなゴールドや青色といったカラフルなおもちゃの銃。
実は、殺傷力があるとして警視庁が押収したものだ。
実弾を発射できるおもちゃの銃の所持について、警視庁は今回、初めて逮捕に踏み切った。

殺傷能力のあるおもちゃの銃2丁を持っていたとして、銃刀法違反の疑いで逮捕されたのは、千葉・袖ケ浦市の無職・江原修容疑者(60)。

警視庁のサイバーパトロールにより、江原容疑者がネットオークションのサイトにおもちゃの銃を出品していることが発覚した。

家宅捜索でおもちゃの銃を押収し鑑定したところ、“人の生命に危険を及ぼす殺傷能力がある”と確認された。

江原容疑者は「拳銃は海外のサイトで購入した。おもちゃとして認識していたが、私の過去の知識と経験から違法なものではないかと思っていた」などと話していて、容疑を認めているという。

おもちゃの銃所持をめぐっては、これまで書類送検はあったが、警視庁は殺傷能力があると認識したうえで、おもちゃの銃を所持していたなどの理由で初の逮捕に踏み切ったという。
街の人は「(Q.実弾を入れられることについて)えっ!そうなんですか?本物の?えっ!怖っ!ネットで買えるんですか。子供とか好きそうじゃないですか」「スマホがすごく普及してる時代なので、親が管理しないと」「すぐに手に入るのが怖い」と話した。
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
これはおもちゃの銃じゃなくて、銃ですよね。そういう意味でいうとネットパトロールを捜査当局が頻繁にやるとか、大人が子供に対して注意喚起をしていくことが大切ですよね。
警察が1万6000丁回収呼びかけも…約3600丁にとどまる
警察が回収を呼びかけているおもちゃの銃には、たくさんの種類がある。
実弾が発射できる機能があるとして、警察が回収を呼びかけているおもちゃの銃の一覧を見ると、これまでに17種類が確認されていて、合わせて4600丁が回収されているという。
逮捕された江原容疑者が所持していたおもちゃの銃も、2つ含まれていた。
警察が回収を呼びかけているおもちゃの銃の中でも2025年、話題となったものがあった。

的にめがけて弾が発射されているのは、中国製のプラスチック製のおもちゃの銃。
この銃も実弾を装塡(そうてん)できて殺傷能力があるとして、回収を呼びかけているおもちゃの銃の1つだが、出回っていたのがゲームセンターのクレーンゲームの景品として、全国で約1万6000丁が出回ったとみられている。
実際におもちゃの銃を熊本県のゲームセンターで手に入れたという男性に話を聞くと、まさか実弾が撃てるとは思わず、子供にプレゼントしてしまったという。
おもちゃの銃を持っていた人:
びっくりしました。リアルだな、精巧にできてると思ったが、改造すれば実銃になるような感じだと思っていなかった。体にあてても痛くなかったので、そのまま子どもに渡して遊んでいた。
このおもちゃの銃についても警察が回収を呼びかけているものの、出回った1万6000丁のうち回収されたのは、9月末の時点で約3600丁にとどまっているという。

青井実キャスター:
その理由について聞くと、所持している人たちのもとに情報が届いていないとしていますが、見た目がおもちゃなので危険を感じないですよね。
親世代からも「モデルガンとか見たことあるけど、どこから殺傷能力がある?おもちゃにしか見えない」「おもちゃの延長でそういうものがあるのが怖い」と、自分たちで危険度を見分けるのは難しいと声が上がった。
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
一過性のある注意喚起じゃなくて、キャンペーンを張るくらいの気持ちで注意喚起を幅広くやる必要があると思います。
そうじゃないと集まらないですね。
宮司愛海キャスター:
基準とかないんですかね。輸入品だと難しいと思いますけど。
青井実キャスター:
おもちゃとしてなっていると、おもちゃかなと思っちゃいます。
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
おもちゃという言葉に惑わされているというか、カムフラージュされている気がしますね。
来年以降は所持や販売で銃刀法抵触の恐れ
YouTubeでエアガンのレビューをするチャンネルを運営するともあきさんは、実際におもちゃの銃をゲームセンターの景品として入手したという。

試し撃ちをした経験があり、その後、警察に持ち込み回収してもらったという。

危険なおもちゃの銃を見分けるポイントを聞いた。
ラリくまちゃんねる・ともあきさん:
弾倉という弾を入れるところがあるんですけど、そこが一貫して空間が空いちゃっているとダメ。ハンマーというか“撃鉄”部分が直接(弾の)お尻をたたいて弾を発射させる。いろいろ複合して、これはダメだという判断になる。
警察はおもちゃの銃の回収期限を2025年12月いっぱいまでとしている。

2026年以降、所持や販売をした場合、銃刀法に抵触する恐れがあり、近くの警察署、交番に申し出てほしいと呼びかけている。
(「イット!」 10月30日放送より)
