愛知県稲沢市にある鮮魚店「魚福」は、地元で獲れた天然魚を驚きの安さで販売。焼きや煮付けもその場で対応する“やりすぎ大将”の店です。深夜1時から市場を歩き回り、納得のいく魚しか仕入れないこだわりと、人情あふれる接客で地域に愛されています。
■秋の味覚・サンマが1本108円…地元に愛される鮮魚店
愛知県稲沢市に、地元の人たちに愛される鮮魚店「魚福」があります。
この日は、「生サバ」(840円)や、「サザエ(5個)」(1080円)、「天然真鯛」(2138円)など、地元を中心に水揚げされた天然の魚が、お値打ち価格で並びます。
客:
「安いです」
別の客:
「他では買わないです。絶対ここです」
店を切り盛りするのは大将の福田啓将さん。
福田さん:
「値段以上の価値があると思えば売ります。その日の一番いいやつを仕入れる」
スーパーではあまり見かけない高級魚の「タチウオ」(3240円)や、煮付けがおいしい「黒ムツ」(4104円)など、新鮮で珍しい魚が豊富なのも人気の理由です。
福田さん:
「養殖の魚は基本扱わない。全部天然」
客:
「さばいてくれるから、新鮮な魚がすぐ食べられて幸せ」
別の客:
「子供って進んで魚食べないけど、ここの魚は食べる」
この日、客が殺到していたのは秋の味覚「サンマ」でした。今年は大漁に水揚げされているようで、1本108円で提供されていました。
客:
「めちゃくちゃ安いよ」
別の客:
「昨日買ったサンマよりぷくぷくしている。100円、安い」
水揚げの状況によって在庫や値段は変わりますが、激安価格。この日用意された600本は、開店からわずか1時間で完売しました。
福田さん:
「儲けようと思えばいくらでも儲けられる。少しずつ儲けさせてもらえばいいかなって。みんな何年も通ってくれるから」
■誰よりも早く市場へ…仲卸も驚く情熱
通ってくれる常連客のため、良質な魚をより安く提供するのが大将のモットーです。それでも赤字にならないのは、仕入れに秘密がありました。
福田さんは深夜1時に仕入れに向かいます。
福田さん:
「だいたい毎日夜11時に寝て、12時半に起きる。睡眠時間は1時間半くらい。朝早く行って、少しでもいい魚を見つけるように」
お値打ちで新鮮な魚を探すため、誰よりも早く名古屋市熱田区の「名古屋中央卸売市場」へ。
福田さん:
「(いいもの以外)置かない。ものが入らない時はしょうがない。店は閉めちゃう」
いいものがなければお店は開けないという徹底ぶり。鮮度と価格に一切の妥協はありません。
仲卸業者:
「(福田さんは)誰よりも安い魚を探して市場を練り歩いています」
別の仲卸業者:
「ぶっ飛んでいますね。寝る間も惜しんで仕事している」
そんな福田さんにつけられたあだ名は、「やりすぎ大将」です。
■プラス100円で「焼きサービス」も
やりすぎているのは仕入れだけではありません。福田さんは鮮魚店では珍しい、プラス100円の「焼きサービス」も行っています。
福田さん:
「要望があれば焼いてお出ししています。火力が強いから家で焼くよりおいしい」
焼きだけでなく、煮付けや炙りの “やりすぎサービス”も。
福田さん:
「これはカレイ。でかい切り身3つ取って、煮魚に」
しかも焼きは100円なのに、煮付けや炙りは、なぜか無料です。
外国人の客が来たときには。
福田さん:
「外国の人はカレーに使う。カレー用だとカットの仕方が違うので、海外の切り方」
特殊なさばき方にも対応しています。
外国人の客:
「週に1回は来ています。言った通りに切ってくれるので1番助かります」
福田さん:
「喜んで帰ってもらって、また来てくれればいいかな」
目先の利益よりも、客との信頼関係。福田さんは「昭和の商店街のような、人情あふれる店でありたい」と話します。
■鮮魚店の隣で味わう具材たっぷりのシーフードカレー
鮮魚店の隣には、海鮮丼や定食ランチのお食事処を併設。
「知多のしらす丼」(864円)や、「生マグロ丼」(1296円)、「大将のオススメ丼」(1296円)など、豪華な海鮮丼をお値打ちに味わえます。
客:
「(前回は)お昼過ぎに来たら終わり間際だったので、今回はスタートを狙って」
別の客:
「前回来て売り切れだったから、再度チャレンジ」
人気なのは海鮮丼だけではありません。鮮魚店が出す「まかないカレー」(1080円)も好評です。
客:
「今日はカレー目当て」
別の客:
「シーフードカレーが名物って聞いたので」
やりすぎなのはその具材の量。じゃがいも、にんじん、たまねぎ、エビ、生イカ、アサリを大量に投入しています。
福田さん:
「鍋が最初かき回せないくらい入れて、それが溶けてかき回せるようになる。“素材の暴力”ですね」
客のために、ついついやりすぎてしまう福田さん。今日も明日も、誰よりも早く市場を練り歩きます。
