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(左から)

花王株式会社 研究開発部門 包装技術研究所 室長 森若博文

花王株式会社 研究開発部門 包装技術研究所 包装管理士 湯田彩香

花王株式会社 ファブリックケア事業部 辻本光貴


お気に入りの服をやさしく洗える衣料用洗剤「エマール」が、見た目と耐久性をそのままに、ボトルのプラスチック使用量を23%削減する※1という、これまでにない挑戦をかたちにしました。花王が掲げる「もったいないを、ほっとけない。」という精神のもと、目立たずとも着実に、環境に配慮したものづくりを進めた開発チームの森若・湯田、マーケティング担当者の辻本の3名に話を聞きました。


※1 容器全体としてのプラスチック削減量は約13%。


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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000149656.html

■“変えない”という選択の、その理由とは


――今回のボトルリニューアルは、見た目がほとんど変わっていないにもかかわらず「リニューアル」と訴求されていますが、なぜあえて“変えない”という選択をしたのですか?


辻本:実は、今年4月にもTシャツ訴求に合わせて大幅なデザインリニューアルを行ったばかりです。そこから半年でさらにデザインを変えてしまうと、ブランドイメージの定着を妨げかねない。そこで今回は、あえて見た目はそのままにし、印象を変えないことを重視しました。


とはいえ、何も変えていないわけではありません。裏面に「再生プラスチック仕様」のマークをさりげなく記載し、環境配慮の取り組みが伝わるようにしています。


表に表示したほうがわかりやすいのでは?と思う方もいるかもしれませんが、生活者がエマールに求めるのは「お気に入りの服を、しわなく、やさしく洗いたい」という安心感。そのメッセージを妨げないよう、サステナビリティ情報は裏面で控えめに伝えることにしました。


裏面にこそ進化の証があります。“静かな変化”にもぜひ目を向けていただけたらうれしいです。


花王株式会社 ファブリックケア事業部 辻本光貴


――今回のリニューアルの根底には、花王の「もったいないを、ほっとけない」という精神があると伺いました。 “見た目を変えない”という選択をした理由は?


辻本:エマールは長年親しまれてきたブランドで、パッケージや形状は信頼や親しみの象徴でもあります。これを大きく変えると、積み上げてきたブランド資産が損なわれかねない。


だからこそ、今回のリニューアルでは「もったいないを、ほっとけない。」という精神のもと、エマールの核となる「お気に入りの服を長持ちさせる」「洗うたびにシワカタチ回復」といった価値提案との整合性を重視しました。


刷新感も大切ですが、それ以上に“これまでのブランドイメージをどう保つか”を重視し、研究部門と連携して形状・デザインの最適なあり方を丁寧に検討しました。


■“やさしさ”を守るための闘い。エマールが選んだ“見せない進化”

――見た目や耐久性を保ったまま、ボトル単体で23%のプラスチック削減を実現したのは、業界でも前例がない挑戦です。「薄くすれば弱くなる」という常識を、どのように覆したのでしょうか?


湯田:以前から必要最低限のプラスチックで作る工夫はしていましたが、今回は「本品容器でもさらに削れないか」と一歩踏み込みました。ヒントになったのは、「キュキュット」の詰め替え容器で使われている「リブ」と呼ばれる補強溝です。これをエマール本品に応用し、強度を保ちながら削減を目指しました。


まずは強度重視の試作を行いましたが、見た目がゴツゴツしてエマールの“やさしい”世界観にそぐわなかった。そこで「目立たず補強する」を追求し、リブの位置や向きを抜本的に見直し。ラベルで隠れるよう工夫し、見た目を変えずに強さを実現しました。


この設計により、10月から新しいボトルへのリニューアルが実現しました。



湯田:もともと36.5gだった従来ボトルは、すでに必要最低限の強度で設計されていました。最初に試作した28gの容器はペコペコすぎて、本品容器には不向きで。液体を入れると注ぎにくく、強度も課題でした。お客様の使いやすさはこれまでのボトルそのままに、それでもプラスチック量28gを達成することを目標にしました。


実は初期には、40%以上削減できたボトルも開発できていました。ただそれは詰め替え用の“使い切り型”容器。本体ボトルは複数回使われるため、強度と使いやすさの両立が必要でした。


試作では“筋骨隆々”な力強い見た目のものもありましたが、エマールの「やさしさ」や「衣類への思いやり」を損ねてしまう。そこで、目立たせずに強度を高める“内なる筋肉”=内部リブという形に行き着いたんです。


実際、リブがあるのとないのでは、ボトルのたわみ方が全く違います。溝の部分が橋のように支える構造となり、強度をしっかり確保できるんです。



――確かに、触ってみると違いがはっきりわかります。


森若:見た目を変えずにプラスチックを減らすというのは、私たちの中で譲れない前提でした。その両立のために、既存設計をゼロから見直し、新しい構造を構築しました。

リブの太さ、長さ、深さ、向き…組み合わせは無限です。私たちは蓄積した知見をもとに、最適なバランスを追求し続けました。


30g後半から23%も削るのは、包装容器に関わって30年以上の私にとってもまさに前人未踏の挑戦。技術的にも構造的にも、大きな発明だと思っています。


花王株式会社 研究開発部門 包装技術研究所 室長 森若博文


――このかたちにたどり着くまで、どのくらいの時間をかけたのでしょうか?


森若:本格始動から完成までは約2年かかりました。最初は“どれだけ鍛えられるか”という発想で、見た目よりも強さ重視の試作を繰り返しました。ただやはり、エマールには“やさしさ”が欠かせない。そこから「やさしくて強い」理想のかたちを探し続け、ようやくすべての条件を満たす構造にたどり着きました。


――開発期間の2年は、長い方ですか?


森若:むしろ短い方です。以前の「キュキュット」は完成まで4年かかりました。そのノウハウがあったから、今回2年で実現できたのです。



■モチベーションの源は「負けず嫌い」と「チームの絆」


――困難も多かったと思いますが、開発を前に進めた原動力は何だったのでしょうか?


湯田:「納得できないものは出したくない」という想いが根底にありました。妥協して「今回はこれでいいか」とは言いたくなかった。チーム全体が、いい意味で負けず嫌いだったと思います(笑)。


ただストイックなだけでなく雑談も多く、「週末どこ行った?」みたいな話がアイデアにつながることも多々ありました。


森若:そもそもこのプロジェクトは「見た目を変えずにプラスチックを減らす」という花王研究室内のコンペから始まったんです。各自が自ブランドを前提に案を出す中、「これはエマールに合うのでは?」という気づきから、開発が本格化しました。容器の原型にはメンバーの発想が詰まっていて、みんなが「ここは自分の提案」と感じられる構造だった。その愛着が、より良くしたいという意欲につながっていたと思います。


最終的にエマールで形になったことに大きな意味があると感じていますし、この技術をエマールで終わらせるつもりもありません。花王全体での環境負荷軽減に向けて、今回得た知見を今後他製品にも活かしていきたい。だからこそ、エマールでは「納得の完成形」が必要だったのです。


花王株式会社 研究開発部門 包装技術研究所 包装管理士 湯田彩香


■ “気づいたときに知る”くらいが、ちょうどいい


――このボトルを通じて、「知らないうちにエコに繋がる」価値を、お客さまにはどう届けたいですか?


辻本:私自身、エマールを選ぶ最初の理由は「お気に入りの服を大切にしたい」という想いだと思っています。


たとえばエマールを使って、「この服、長く着られてうれしい」と思った時に、「エマールってどんな洗剤なんだろう?」と興味を持って調べていただくこともあるかもしれません。そうした時に環境への配慮や開発者の想いを知り、「実は地球にもやさしい洗剤だったんだ」と気づいてもらえたらうれしいです。


そうした“さりげない気づき”こそ、私たちが届けたい価値のひとつ。使いながら自然と伝わっていく、そんな関係性を目指しています。


エマールは、「おしゃれ着用洗剤」売上No.1※2として長年多くの方に選ばれてきたロングセラー商品です。洗浄力や香りに加え、「環境への貢献」にも関心を持っていただき、おしゃれ着用洗剤の魅力に気づいてくださる方が増えれば、日常の中で自然にエコな行動へとつながっていく。そんな未来を描いています。


だからこそ、私たちは強くアピールするより、「あ、これってエコだったんだ」と後から気づけるようなものづくりや発信を大切にしています。


※2 インテージ SRI+ 軽質洗剤市場2024年10月~2025年9月 ブランド金額シェア


■“見えない努力”こそが、花王のプライド


――今回の開発を通じてあらためて感じた「花王らしさ」、そして「もったいないをほっとけない」という言葉の本当の意味とは?


森若:今回私たちが体現した「花王らしさ」は、“見えない部分にも一切手を抜かない”姿勢そのものでした。「見えないならいい」ではなく、「見えない部分にこそ価値を込めたい」という想いが、開発の根底にありました。


今回のボトルも、見た目の大きな変化はありませんが、20%以上のプラスチックを削減しています。仮にこの技術を採用しなければ、それだけ多くのプラスチックを使い続けていた。それってやっぱり“もったいない”ですよね。


目に見えるわかりやすいアピールはせず、でも“エマールらしさ”にはつながったと思っています。エマールは衣類にやさしい洗剤。その容器もまた、地球にやさしくあってほしいと考えました。


よりサステナブルな暮らしを、あくまで“自然に、さりげなく”支える存在でありたい。その想いが、このボトルには詰まっています。


開発中には「もう少しアピールしては?」という声もありましたが、最終的に企画チームや事業部の方々もこの見えないこだわりに共感してくれて。だからこそ、エマールに採用されたのだと思います。


「目立たなくても、意味がある」。

 そう信じて続けられるのが、私たち花王らしさだと改めて実感しています。


■技術を“囲い込まない”という選択。花王が見据える“社会全体”の未来


――この容器は、他社でも使える可能性がある技術と伺いました。社会全体のサステナビリティへの貢献という視点について、お聞かせください。


森若:たとえば「プラスチックが減ればコストも下がる」というのは事実ですが、私たちはこの技術を独占しようとは思っていません。


「もったいないを、ほっとけない」という花王の姿勢に則り、他社にもぜひ使っていただきたいと考えています。もちろん、私たちが他社の容器を設計・製造する立場にはありませんが、設計の相談や技術的アドバイスであれば、喜んで協力したいと思っています。


この「プラスチック削減型容器」の技術が、花王だけでなく業界全体のスタンダードになること。それが私たちの願いです。


■“お気に入りを長く使う”から、“社会を巻き込む”へ。エマールの次なる挑戦


――“お気に入りをずっと守る”という価値を掲げてきたエマール。容器でもサステナビリティを実現した今、次に見据える未来像とは?


辻本:今回の容器改良は、エマールにとって大きな進化でした。でもそれだけでなく、今後は想いや価値観の発信にも力を入れていきます。


たとえば「お気に入りの服を長く着たい」という生活者の気持ちを叶えるために、洗剤だけではできないアプローチを他企業と共に実現していきたいです。すでにアパレルブランド様やZOZO様と連携した取り組みも実施しました。


今後は、繊維メーカー様や家電メーカー様とも連携しながら、衣類ケアと環境配慮の両立を広げ、持続可能な日常に貢献できればと思っています。


そして、今回のように社内で生まれた技術が他社にも広がっていく。その波及こそが、ブランドとして果たすべき社会的役割だと考えています。


エマール× ZOZOの共同企画

【elove by内記事コンテンツ】https://zozo.jp/elove/25990/


■「気づいたとき、そこにエマールがある未来へ」


――最後に、伝えたいメッセージをお願いします。


湯田:「もったいないをほっとけない」が、無理なく自然に広がっていくとうれしいです。知らないうちに環境にやさしい選択ができていた――その背景にエマールがある、そんな未来を思い描いています。


森若:今回の容器について、「ぜひ買い替えてください」とは思っていません。今使っているボトルが終わったタイミングで、自然に新しいエマールに出会っていただけたら。


見た目は大きく変えていませんが、「なんとなく優しそう」と感じてもらえたらうれしいです。そこに込めた想いや工夫が、少しでも伝わって広がっていくと信じています。


もちろん、使いやすさはそのまま。目立たないけれど、しっかりした技術とこだわりが詰まっています。「見えない部分にこそ、本質がある」。そんなものづくりをこれからも続けていきたいです。


辻本:容器ってなかなか注目されにくいですが、今回が気づきのきっかけになればうれしいです。


「昔のボトルをずっと使っている」という方もいらっしゃると思います。でもぜひ一度、新しい容器を手に取って、「これが環境にやさしいんだ」と感じていただけたら。服もボトルも長く使ってもらえることが、環境貢献にもつながるはずです。


また、容器メーカーさんとも協力しながら、技術を高め合い、さまざまなシーンで環境への貢献ができればと思っています。これからも研究開発の皆さんと一緒に、エマールをさらに進化させていきたいです。





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