「のこった!のこった!」。激しくぶつかり合うロボットと操作する高校生。ロボット相撲に青春をかける高校生たちがいる。決戦の舞台は大相撲の“聖地”、東京の両国国技館だ。
全てが手作りのロボットたち
福岡市東区にある福岡工業大学付属城東高校。全校生徒2000人を超えるマンモス校で、ロボット相撲の大会に向けて調整を続けている生徒たちがいる。

掛け声とともに、激しくぶつかり合うロボット。「私たちが取り組んでいるのは、ロボット相撲という部活動です」と 3年生で部の主将の太田志さんは話す。

どんなロボットなのか? 主将の太田さんは「僕が持っている3㎏級というロボットから500g級までのロボットを自分たちで作って、鉄の土俵上で戦わせる競技です」と説明してくれた。

ロボット相撲は、自作したロボットを力士に見立てて対戦、相手ロボットを土俵から押し出す競技だ。城東高校では20年ほど前に部としての活動が始まった。

ロボットのフレームや車輪部分など、部品の素材選びから製作、メンテナンスまで全て自分たちで行っている。

戦いの舞台となる土俵は、土ではなく、直径1.54mの厚みのある鉄板。土俵が鉄製なのは大きな理由がある。ロボットの裏に強力な磁石がいっぱい付いているのだ。

主将の太田さんは「垂直に上げようとすると100kgくらいの重さ。強いマシンだと200㎏近くかかります」と話す。まさに相撲で言う『粘り腰』の役割を果たす強力な磁力なのだ。

そして相手を倒すためには、前方に装着されている部品が重要だという。「ロボットの前面にはブレードが付いていて、それで相手をすくい上げて相手の磁力を減らすようにしています」と主将の太田さんは説明する。

ブレードの役割は、相手のロボットの横を取ることによってモーターのパワーで押し出すことができるというのだ。
目標はズバリ 世界大会優勝!
城東高校ロボット相撲部は創部以来、毎年、全国大会に出場している強豪校で、過去に2回、全国制覇もしている。そして2025年は、7台のロボットが、12月に開かれる両国国技館の全国大会への出場が決定している。この大会で優勝すれば約30カ国が集まる世界大会の出場権も獲得することができるのだ。

7台のロボットが全国大会に出場するなかで、最も注目されるロボットを操る生徒がいる。城東高校1年生エースの堂園勘八さんだ。堂園さんが出場するのは、500g級のロボット。2024年、大会種目に採用され、城東高校で全国大会に出場するのは堂園さんが初めてとなる。

堂園勘八さんは「まず普通にはない“ヘラ”が付いていて、普通は機体の刃で勝負するんですけど、これの場合はヘラで勝負して、相手に入り込んで倒せる特徴があります。この機体は前に押すだけで勝てる。理論上は最強の機体になっています」と自信を見せる。堂園さんが設計した最強のロボット力士。その強さは本物のようだ。

この完成度に顧問の城東高校の平田博文先生も「満点ですね。彼はロボット相撲部屋の中学校時代から大ファンでして、入学したらロボット相撲を絶対やるんだという意気込みで入学してきてますので」と大きな期待を寄せている。

中学までは剣道に打ち込んでいたという堂園さん。しかし2024年のオープンスクールでロボット相撲と出会い、この世界に魅了されたという。

「入学してよかったとずっと思っていて、高校を卒業してもずっといたいぐらい。将来はロボットに関する仕事に就きたい」と語る堂園さんだが、目標はズバリ世界大会優勝。「全国大会はその道のりとして頑張っていきたいです」と笑った。
(テレビ西日本)
