宮城県大崎市・中山平温泉の老舗旅館「仙庄館」が、10月16日付で仙台地方裁判所から破産開始決定を受けた。東京商工リサーチおよび帝国データバンクが相次いで発表した。

仙庄館は1922年(大正11年)に創業し、1937年(昭和12年)に法人化。鳴子温泉郷の一角、中山平温泉において、硫黄泉の大浴場や露天風呂、貸し切り風呂などを備え、観光客や地元住民から長年親しまれてきた。

バブル期の1990年代前半には、大規模な宴会場を有し、団体旅行客の受け入れも可能な旅館として、1993年3月期には年商約8億5000万円を計上。しかし、その後は競合旅館の増加や観光需要の低迷といった環境の変化により、業績は徐々に低迷した。

2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け、通常営業の継続が困難な状況に。2021年3月期の売上高は約2000万円にまで落ち込み、2024年3月期においても約8000万円にとどまり、経常損益は赤字に転落していた。こうした中で、2025年4月1日から無期限休業に入っていたが、業績回復の見通しが立たず、今回の法的手続きに踏み切った。

負債総額は、2024年3月期末時点で約3億円にのぼる。

仙台放送
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