任期満了に伴う宮城県知事選挙で6回目の当選を果たした村井嘉浩知事は27日の定例会見で、選挙期間中にSNSなどで虚偽情報や誹謗中傷が拡散したことを受け、県としてファクトチェックや刑事告発を支援できる仕組みの構築を検討するよう幹部に指示したことを明らかにした。

「今回は精神的に一番苦しかった」

村井知事は会見の冒頭、選挙を振り返り「落選も覚悟していた」と率直な胸の内を明かした。

「選挙カーに乗りながら、落選した時の挨拶をどうしようか考えていた。
一番最初の選挙も苦しかったが、精神的には今回の方がつらかった。
20年かけて県職員と積み上げてきたものが壊れてしまうかもしれないという責任を感じていた」

その上で、当選を果たしたことについて「県民から『思い切りやっていい』という後押しをいただいた。自信を持ってやっていきたい」と述べた。

SNS上の誹謗中傷に危機感 「民主主義が壊れる恐れ」

村井知事は、今回の選挙戦を「これまで経験したことのない選挙だった」と強調した。

「一つの政党が全力で一人の候補者を支援し、徹底的に誹謗中傷やデマが拡散された。個人の事務所では対応できない規模で、非常に深刻な状況だった」

その上で、県として中立的な立場から事実関係を調べ、必要に応じて警察への告発を支援できる仕組みを検討するよう幹部職員に指示したと説明した。

「次の衆院選や首長選などで同様の事態が起きたとき、候補者から相談があれば県が中立的に調査し、問題があれば警察に伝える。
告発は候補者が行うが、その間を取り持つようなサポート体制をつくれないか検討してほしい」

「秋保メガソーラー推進」デマ被害も言及

村井知事は、自身の選挙中にも虚偽情報が拡散された具体例を挙げた。

「私は秋保のメガソーラーを推進すると一言も言っていない。どこにも記録がない。
それでもネット上では“推進派”と書かれ、明らかな誤りが拡散された。
こうした場合に、どのように法的措置を取るか、フォーマットを整える必要がある」

村井知事は「選挙中に被害を受けても、候補者には余裕がなく対応できない。
第三者が迅速に対応できる仕組みを整えなければならない」と危機感を示した。

「ポピュリズムではなく、責任ある政治を」

また、村井知事は選挙全体の風潮にも触れ、次のように語った。

「票を取るためだけに有権者に迎合するのは、正しい政治の姿ではない。
政治家は『こういう社会をつくりたい』『そのためには痛みも伴う』ということを理解してもらうべきだ。ポピュリズムは為政者の姿として正しくない」

ファクトチェック体制は今後検討

村井知事は「まだ仕組みをつくると決めたわけではない」と前置きした上で、「県警や顧問弁護士などと連携し、第三者機関や県庁内の組織など、どういった形が最適か検討したい」と述べた。

「今回たまたま当選したが、もし負けていたら全てを失っていた。こうした被害者が今後出ないように、早く止める仕組みを考えたい」

今後の県政運営については「4年後、良い形で次の世代にバトンタッチしたい」と語り、6期目のスタートに向けて意欲を示した。

仙台放送
仙台放送

宮城の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。