全国的にインフルエンザの流行が例年より早く始まっている。
島根・鳥取両県でも例年よりかなり早く流行期に突入していて、医師は「早めのワクチン接種」を推奨している。
またインフルエンザに感染しているかどうかを調べる方法で、患者が苦手意識を持つのが、鼻の奥の粘膜を調べる方法だ。
この検査で“痛い思いをしない”という『AI』を使った新たな検査も登場しているが、課題も残されているという。現状を取材した。
過去10年で2番目に早い流行期入り
山陰地方では、10月上旬に早くもインフルエンザの流行シーズンに入っている。
島根県の1医療機関あたりの患者数は、10月13日からの1週間で3.2人と、流行開始の目安となる「1.0人」を大きく上回っている。その翌週20日からの週も2.8人となっている。
特に松江・雲南・隠岐地域で患者数が急増しており、過去10年で2番目に早い流行期入りとなっています。
鳥取県でも10月上旬に流行開始の目安の「1.0人」を超え、流行期に入っている。

鳥取・米子市にあるくにもと耳鼻咽喉科でも、徐々にインフルエンザ患者が増加しつつある。
國本泰臣院長は「今年は例年よりもやや早めに流行が始まっているようですので、もうすでに鳥取県では流行が始まっていると言えると思います」と話す。
免疫獲得まで1週間 ワクチン接種早めの対応が重要
こうした早い流行期入りを受け、医師は10月上旬から始まっているインフルエンザワクチンの早期接種を推奨している。
「ワクチンを打っても、すぐすぐ免疫ができるということではないので、やはり早めに接種しておいた方がより安心という気はします」と國本院長。

接種後に免疫ができるまでに約1週間かかるとされているため、早めの接種が効果的だという。
またワクチンの効果は半年程度持続するため、早い段階で接種しておくことが望ましいとしている。
鼻の奥をグリグリは苦手…痛みの少ない最新の「AI」検査システム

インフルエンザが疑われる場合、感染しているかどうかを医療機関で検査するが、多くの人が気が重く感じるのが従来の検査方法ではないだろうか。
鼻の奥を“グリグリ”されるため不快感や痛みを感じる人が多いということで、くにもと耳鼻咽喉科では、それを避けるため痛みの少ない最新の検査方法を導入している。

このシステムは『AI』を活用した検査法で、専用の機械でのどの奥の写真を撮影、『AI』がのどの腫れなどを検知する。
撮影した画像と、事前に入力された体温や症状、ワクチン接種の有無などの情報をもとに判定を下すしくみだ。
國本院長は、この検査法によって患者の負担軽減や検査時間の短縮につながっていると説明する。
『AI』検査の課題と今後の展望
一方で、このAI検査システムにはいくつかの課題もある。
「抗原検査をすると、インフルエンザのAかBかというのがわかりますけど、これはAかBかまではわからない。型の区別はつかないという形になりますね」と國本院長は指摘する。

ウイルスを直接検知しているわけではないため、A型かB型かまでは判別できず、また抗原検査で可能なインフルエンザと新型コロナの同時判定はできないという限界もあるという。
しかし國本院長は、「とにかくインフルエンザがまず知りたいという方であれば、まずこういったものをしてみる選択肢はあると思います。最初にインフルエンザを調べて、そこで陽性だったら、おそらく他の感染症である可能性は高くない」と、その活用法を提案している。

このシステムは今後アップデートされていく予定で、10月末からは新型コロナの判定もできるようになるとのこと。
こうしたAIを使った検査システムは山陰地方でもいくつかのクリニックで導入されており、今後さらに普及が進むのか注目されている。
(TSKさんいん中央テレビ)
