10店舗以上のカキ小屋が軒を連ねる福岡・糸島市の岐志漁港。

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2025年10月23日、今シーズンの営業を開始した『徳栄丸』では、客を迎える準備が進められていた。

「今季は台風の影響少なく海水温安定」

徳栄丸で提供しているのは、岐志のブランドカキ『森のめぐみ』。小屋の裏手に広がる引津湾で養殖されている。水揚げに同行した。

穏やかな船日和のなか、沖に進むこと約5分。カキの養殖に到着した。いかだの下には、1年ほどかけて育てられたカキが静かに息づいている。

巻き上げクレーンを捜査すると大量のカキがガラガラと落ちてきた。獲れたてのカキだ。

徳栄丸代表の松前龍吉さんは「今年のカキは、去年より、出来はいいですね。去年は暑さで大変だった。太りも悪くて」と満足気だ。

昨シーズンは、猛暑や台風の影響で多くのカキが死滅し、身も小ぶりだった。今シーズンも暑さは厳しかったものの、台風の影響が少なく、海水温が安定していたため比較的、順調に育っているという。

さらに「『三倍体』というのが、産卵しないカキで、夏場も持って、美味しく大きく育つ」(徳栄丸 松前龍吉代表)という。

夏場の産卵によるエネルギーの消耗がなく、海水温が高くても育つ『三倍体カキ』を現在、養殖中だ。

『三倍体カキ』は、来シーズンから店で提供する予定になっている。

タイ人も「アロイ!(美味)」

早速、獲れたてのカキを焼いて頬張った記者は「美味しい!まず口いっぱいに広がる潮の香りと味も濃厚です」と舌鼓を打つ。

続いて、店長の松前美月さんが「お待たせしました~。うちの名物です」と運んで来たのは、豪華な徳栄丸名物『ガンガン焼き』。

エビやホタテ、ヒオウギガイなど5種類とカキ2キロが入ったセットだ。松前店長によると「缶の中で蒸した状態で食べるので、例えば、お子さまとか、熱い焼き汁が跳ねるのが怖いという家族の方には好まれています」という。

来店客も「きょうオープンだったので、来ました。めっちゃ美味しい」。「濃厚!毎年来てます。早い時期から食べられるのは嬉しい」と満足な表情だ。最近では海外からの客も多く、この日はタイの団体客が50人ほど来店していた。

「アロイ!(おいしい)」を連発するタイからの観光客。中にはタイからスパイスの効いたソースを持参する人もいるなど、それぞれ思い思いに旬の味を楽しんでいた。

タイからの旅行客一行を案内したガイドに聞くと福岡ツアーでカキ小屋は必ず来るという。「タイにもカキはあるが、サイズはそんなに大きくないから皆、珍しくて来たがる」という。

カキ小屋は2026年3月頃までの営業。これから寒くなるにつれ、身が大きくなるということで、今シーズンも多くの観光客を楽しませてくれそうだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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