子育て中のママたちが長崎県大村市にカフェをオープン。地元で採れた新鮮な野菜と麹を使ったランチで、心も体も軽くなる場所だ。
“農薬不使用”の野菜を使った店
12月5日にプレオープンした「vegi&cafe sunchoQoo(ベジカフェさんちょく)」。
店内には、今が旬のかぶや白菜などが並ぶ。大村で採れた、農薬を使わずに栽培した野菜だ。
その名の通り「産直野菜」も販売しているこのカフェは、市内のママたちが飲食店だった場所を改装し、“野菜に特化した店”を開いた。
「大村市は産直はあるんです」と代表の入江詩子さんは話す。「農薬不使用の野菜に特化したところがなくて、そういう選択肢を1つ増やしていきたいとの思いがあった」。
マネージャーの岩崎仁美さん(崎はたつさき)は入江さんと共に5月ごろから本格的に準備に入り、畑に手伝いに行くところから始まった。
岩崎さんは「この野菜が食べたい、欲しいと思ったときに買って帰れる場所が欲しくて」と語る。
「ハッピーな気持ちで楽しく食べる」
次第に2人の思いに共感したママ友や仲間が集まるようになり、夏ごろから店で提供するランチの試作を始めた。
全員主婦とあって、手際がよく、チーム戦で準備が進む。なかには飲食業界を経験していないスタッフもいる。
メニューの監修を依頼した講師を招いて、調理や盛り付けのポイントなどを教わった。開店を支えてくれた地域の人達にも試食してもらい、改良を重ねてきた。
岩崎さんが目指す料理は「体に優しいご飯」だ。「体にどんなにいいものを食べても、結局その人がハッピーでいることが大事だと思う」と語る。
岩崎さんは子供6人の大家族だ。「簡単な料理でも、会話しながら楽しく食べるのが一番いいかなと思う」と、改めて食卓を囲む幸せをかみしめている。
野菜は販売、ランチでも使用で「フードロス対策」
プレオープンの日、応援してくれる仲間たちも店に訪れた。
大村市の農家、寺坂理紗さんは、家族経営でなかなか多くの場所に直接野菜を持っていく時間がなかったと話す。「直で卸せるのはすごく有難いし、それをお客様においしく料理していただいてお届けできるのは、さらに嬉しいこと。精一杯協力したい」と、感謝の気持ちを表した。
店の野菜はすべて買い取り、売れ残ったとしても次の日のランチに使ってフードロス対策にもつなげる。
素材のうまみを引き出す…こだわりの「麹」
店のウリは、地元でとれた旬の野菜をたっぷり使う「地産地消」ランチだけではない。
手づくりの豆板醤に、塩麹、コンソメ麹、ゆずこしょうの塩麹、キムチ麹、カレー麹、バジル塩麹、しょうゆ麹、しょうがの麹、焼き肉のタレ麹…数多くの手作りの「麹調味料」を使っている。食事に応じて使い分けているこだわりようだ。
麹を使った発酵調味料を加えて肉や魚を柔らかくしたり、素材のうまみを引き出す。
寒さが厳しくなるこの時期のおススメは「セイロ蒸し」だ。
野菜の種類はその日、仕入れたもので変わる。好きな野菜を自分で盛り付けるところも楽しみのひとつだ。塩麹に漬けた豚バラか鶏ササミを入れたら、蒸して完成。
「野菜がおいしい」「蒸して健康的にいいかな、と。割と簡単に調理されていたみたいだから、家でもやってみたい」と、客も大満足だ。
つながりを作る「居場所」に
岩崎さんの次男・聖英さんも母を支えてきた。
聖英さんはワーキングホリデー先のニュージーランドでの「バリスタ」の経験を生かし、大村で評判のコーヒーを淹れ、客をもてなす。
店には子育て中のママも訪れる。日当たりのいいテラス席からは、緑豊かな町並みを駆け抜ける新幹線や大村湾を望める。
今後は、料理教室やワークショップを開き「sunchoQoo」をつながりをつくる場にしたいと考えている。
「ここに来たら農家ともつながるし、食に関心ある人ともつながるし、子育てや介護のこととか、ちょっとしたことをここで話してリフレッシュできるような、小さなつながりの1つの居場所になったらいいなと思う」と、入江さんの夢は膨らむ。
自慢の野菜と麹を使ったご飯で、心も体も整う時間を。ママたちが提供するあたたかな空間と時間は、新たなつながりも育む。
「sunchoQoo」
・長崎県大村市池田2丁目1386-1 サンセットガーデン
・営業時間 午前10時~午後5時
・ランチ 午前11時~午後3時
・定休日 月曜日
(テレビ長崎)
