10月23日に開幕した春の高校バレー宮城県大会。
全国への切符をかけた熱い戦いが始まりました。
女子1回戦屈指の好カードとなったのが、常盤木学園と聖和学園のベスト8常連校同士の対決。
両校のキャプテンには、お互いを意識する理由があります。
常盤木学園のキャプテン江面育実選手。守備の要「リベロ」として1年生のころからスタメン入りしているチームの大黒柱です。
常盤木学園 江面育実選手
「春高っていうのは自分にとって夢の場所なので、そこに行きたいという思いがあって、今まで練習してきました」
一方、2年前、総体・春高ともに県大会決勝にコマを進めた強豪・聖和学園のキャプテンを務めるのが、江面歩未選手。
常盤木学園キャプテン・育実選手の双子の姉です。妹のことを常に意識してきました。
聖和学園 江面歩未選手
「常盤木はやっぱり因縁のライバルと言ってもいいくらいの存在だったので、最後の大会だけは絶対に譲れないという気持ちでいきたい」
中学時代まで、同じチームでプレーしてきた2人。妹の育実選手は高校進学のタイミングで、「ある思い」を抱いたと言います。
常盤木学園 江面育実選手
「小学校、中学校と歩未の方がキャプテンしてて、自分はずっと付いていく側で、そのチームをまとめることもあんまりしたことがなくて、流されるだけの人間にはなりたくないっていうのはずっと思ってて」
姉に頼らず進む道を選んだ、妹・育実選手。
一方、そんな決断をしたのは、妹だけではありませんでした。
聖和学園 江面歩未選手
「『江面の双子』と言われることが多かったから、江面歩未っていうのを覚えてもらいたくて」
「双子の姉妹」としてでなく、一人のプレーヤーとして見てほしい。
妹と同じく、高校では別の道を選ぶことを心に決めていました。
聖和学園 江面歩未選手
「自分ひとりでやっていけると高校で示したいなって」
そして、思いが引き寄せられるかのように実現した、高校最後の双子対決。
別々の道を選んだ二人が行きつく先は…。
公式戦では、6月の高総体以来の対戦となった両校の一戦。
姉・歩未選手はベンチスタートとなりました。
第一セット序盤、妹の育実選手率いる常盤木にサービスエースが飛び出すなど、スタートダッシュに成功します。
しかし、高総体でベスト8に進出、今大会のシード権を獲得した聖和がここから怒涛の5連続ポイント。逆転に成功します。
流れを取り戻したい常盤木は、チームの守護神・リベロの育実選手が好レシーブ。
試合の主導権を譲りません。
一進一退の攻防が続く中、抜け出したのは聖和でした。
硬軟織り交ぜた攻撃でポイントを重ね、第一セット奪います。
迎えた第二セット。第一セットの勢いそのままに聖和が常盤木を攻め立てます。
そして、聖和リードで迎えた中盤、姉・歩未選手がコートに。
双子の姉妹がネットを挟んで向かい合います。
歩未選手がスパイクを決めれば、育実選手はレシーブでピンチを救い、チームを盛り立てます。
そして…最後の春高での双子対決は、姉・歩未選手に軍配。
妹・育実選手、最後の春高が終わりました。
常盤木学園 室井貴彦監督
「悔しいけど…バレーは一区切りだけど…人生は終わっていない。3年生ありがとう…ありがとうたくさんいろんな思いを紡いでくれました。ありがとうございました」
常盤木学園 江面育実選手
「歩未がいなかったらバレーを始めていなかったし、仲間たちと出会うこともできなかった。やり切って最後終わってほしい」
聖和学園 江面歩未選手
「育実がいなかったら絶対にここまでのどこかでくじけていた。育実の分も背負って戦いたい」