10月26日に投票が行われる県知事選挙。
5人の候補者は9日の告示から自身の公約などを県民に訴えていますが、その中で、共通して訴えているのが人口減少対策です。
県内の人口は2003年をピークに減少に転じ、20年後の2045年には、今から約30万人減り、約192万人になると試算されています。
現職の村井嘉浩氏はまさに、人口が減少に転じ始めた2005年に知事に就任し、大企業誘致による経済の活性化や、行政のスリム化などに取り組んできました。
こうした村井氏の施策に対する各候補者の主張、自身が知事になった場合の対策の方向性についてお伝えします。
村井氏が近年、取り組んだ事業の1つに水道事業・みやぎ型管理運営方式があります。
人口減少に伴う料金収入の減少、施設の老朽化に伴う、維持・管理費の増加などを見据えた事業で、施設の所有権は県が持ちつつ、運営と維持管理それぞれを民間でつくる共同出資企業に委ねるという官民連携事業です。
この事業について村井氏は、導入後、実際に大崎広域などで基本料金が値下がりしていることなどから「大成功だ」としています。
一方、元参議院議員の新人・和田政宗氏は「水は命をつなぐもの。公営でやるのが原則」として再び公営に戻すと訴えています。
自営業の新人・金山屯氏は「そもそも仕組みを知らないため回答しない」としています。
元県議会議員で新人の遊佐美由紀氏は、企業との契約期間が20年で長期間にわたることから、費用の削減効果など検証が必要としています。
角田市の元職員で新人の伊藤修人氏は、費用削減の面では有効としたうえで、長期間な視点での総括が必要としています。
また、もう1つ村井氏が近年、力を入れるのが、外国人人材の受け入れです。
村井氏は、労働力確保のためインドネシア政府などと人材の受け入れを促進する協定を交わすなど積極的な受け入れを進めています。
この点について、村井氏は、協定を結ぶことで信頼できる人材の受け入れにつながると、引き続き推進する考えを示しています。
和田氏はデジタル化が進んだ将来、デスクワーク業務などで将来的に雇用の奪い合いが起こる可能性があるとして、慎重な姿勢を示します。
金山氏はまずは日本人を優先に人材育成や採用をするべきとします。
遊佐氏は、就労希望者に対しては積極的に支援すべきとし、定住者向けに日本語教育を充実させるなど包括的な共生社会を推進するとしています。
伊藤氏は国籍を問わず宮城での就労を希望する人に対しては定着してもらう政策を行うべきとしています。
村井県政が進めた施策に対する評価は候補者の間で割れていますが、実際に知事となった場合は、どのような施策で人口減少と向き合うのか、候補者に取り組み方を聞きました。
現職の村井嘉浩氏です。
村井嘉浩氏
「子供の子育て、産み育てやすくするというのは県の仕事だけではなくて、基本的には市町村の仕事なんですよ。学校、小学校、中学校、それから保育所、学童保育、全て市町村ですよね。ですから、市町村が基本的にはやっていく。そこでできない、バランスが取れない、でこぼこが出たところに、行政(県)がそこをならしていく役割をする。合わせて、国の方にお願いをして、国から色んな制度を持ってくる、制度を変えていただく、財源を持っていく。こういったような事が、やっぱり県としては一番大きな仕事ではないかなと私は考えております」
村井氏は県の役割について、このように述べた上で、6期目では、AIなどのデジタル技術を最大限活用し、働き方を変えていくことで人口減少対策につなげたいとしています。
続いては新人の和田政宗氏です。
和田氏は、県独自の出産支援金30万円上乗せ、産後ケアや不妊治療、卵子凍結の負担ゼロ、私立を含め高校までの授業料の無償化など、子育て世代への直接的な支援を大胆に打ち出しています。
和田政宗氏
「子供が増えるような政策をやっていかなければ、宮城県のいわゆる担い手、働く若い方々、そういった方々がいなくなってしまって、県の活力が失われてしまう。もうこれぐらいのことをやらないと子育て世帯を支えられないですし、また、宮城の出生率全国ワースト2ということは転換できないと思っています」
続いては自営業の新人・金山屯氏です。
金山屯氏
「女性が本当にいきいきとしていける社会、そういう社会にならない限り人口減少はやむを得ないんじゃないかと」
金山氏は、女性の地位向上や、場外馬券売り場を誘致することなどが人口減少対策につながるとする一方、具体的な施策については、議員や有識者が検討するべきで、最終的な判断を下すことが知事の役割としています。
元県議会議員で新人の遊佐美由紀氏です。
遊佐氏は、出産・育児にかかる費用の無償化や全ての自治体で訪問介護事業所を設置することによる在宅介護の充実などを公約に掲げます。
また、共生社会を推進する必要があると訴えます。
遊佐美由紀氏
「人口減少をどう力に生きるか・やってるかって言うと、意外にですね、元気な地域は高齢者の皆さんが子供をいろんな意味で育てているという地域なんですね。高齢者の力も子育てに資する。高齢者の温かさが子供たちの親も安心するっていうような支え合う社会を作っていく。コミュニティーの充実ですよね。(制度・環境面含めて)その2点を挙げたいと思います」
角田市の元職員で新人の伊藤修人氏(33)です。
伊藤氏は、子育て世帯の負担軽減などの環境整備は必要とした上で、DXによる“地域格差の解消”が長期的な視点で見ると少子化対策につながると訴えます。
伊藤修人氏
「デジタル化することによって、例えば行政でもそうですけれども、わざわざ仙台とかまで行かなくても、そういう手続きができる、街中まで行かなくても手続きができるみたいな、地域でも暮らし続けていける環境を作っていけたらなというところが、トータルで見た人口減少対策なのかなと思っています」
県知事選挙は26日に投票が行われ、即日開票されます。
仙台放送では、投票日の午後8時から知事選に関する情報をインターネット配信でお伝えします。