中越地震から10月23日で21年。中山間地を襲った中越地震で特徴的だったのが地滑りによる被害です。斜面が崩落し道路が寸断、集落の孤立などを招きました。それから21年…復旧の経験を後世につなごうと、関係機関を対象にした復旧箇所の見学会が開かれました。

■中越地震から21年…“地滑り”発生現場を視察

【林野庁関東森林管理局上越森林管理署 松井章二 署長】
「震災が起きて21年という長い年月が経つ中で、色んな記憶、被害の記憶、復旧の記憶、そういったものが失われている」

10月20日に開かれたのは、中越地震の復旧対策見学会。

中越地震では長岡市や小千谷市を中心とする山間地域で大規模な地滑りが多く発生し、集落や道路などに甚大な被害を与えました。

見学会には林野庁の上・中越森林管理署や県地域振興局の職員など50人が参加し、大きな地滑り被害が発生した現場などを見て回りました。

【林野庁関東森林管理局上越森林管理署 松井章二 署長】
「もう一回こういったものを掘り起こして共有していくことによって、今後また不幸に災害が起きた時に、より迅速に地域の皆さんの安全を確保していけるのかを目的にしながら今回開催を企画した」

■斜面崩落現場 豪雪に見舞われ“土砂雪崩”も発生

最初に訪れたのは、長岡市濁沢町の貫地区。

【林野庁関東森林管理局上越森林管理署 石栗一良治山 技術官】
「雪解け水と雨水が浸透して土砂と雪が混在して崩落する土砂雪崩という現象が次々と発生した」

貫地区は地震で斜面が崩落。その後、豪雪に見舞われ、融雪期には地震で生じた亀裂に雪解け水が浸透し、土砂と雪が一体となって滑り出す“土砂雪崩”と呼ばれる現象が起きて、再び土砂が県道まで流れ出ました。

その復旧のために斜面を安定させたり、地滑りを防止したりする工事は2013年まで続き、現在は緑化も進んでいます。

このほか、土砂により川がせきとめられ、多くの住宅が水没した木籠集落なども視察。

【林野庁関東森林管理局上越森林管理署 堀内稔弘 次長】
「だいたい、あの屋根まで水没していたという状態」

■「かなり苦労した」地震の記憶・教訓を次世代へ

見学会の後半に訪れたのは、斜面上部の養鯉池が決壊して土石流が発生し、国道などが被災した小千谷市小栗山の呼坂地区です。

この場所に特別な思いで立っていたのは復旧を担当した職員。

【林野庁関東森林管理局上越森林管理署 堀内稔弘 次長】
「当時、1つの土留めをやるにもかなり苦労しながらやったが、こうやって自然の緑に還っている状況を見て、今でも台風や大雨があっても安定した状態で持っていてくれているのはほっとしている」

中越地震を経験していない若手職員たちに当時の状況を詳しく説明していきます。

【林野庁上越森林管理署の職員】
「なかなかこういう現場を見る機会がないので、実際の現場を見て、自分がもし対応するとなったら、こうしたらいいのかなという考えが身についたと思う」

【林野庁中越森林管理署の職員】
「色んな方が協力してやっているという話を聞いたので、もし、そういう現場に当たったら、色々協力しながらやっていきたい」

いつ起こるか分からない災害に備えるために…様々な形で地震の記憶と教訓が継承されていきます。

NST新潟総合テレビ
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