続いては、裁判員裁判。去年4月、熊本市のアパートで交際相手の女性に暴行を加え、死亡させるなどした罪に問われていた男に判決です。
被告側は「責任能力がない」として無罪主張をしていましたが、熊本地裁は男に、23日、懲役7年を言い渡しました。
判決を受けたのは、熊本市東区長嶺南に住む作業員、早瀬 真吾 被告(43)です。
判決などによりますと、早瀬被告は去年4月、同じ就労支援施設に通う交際相手の木下 春千代さんが住む東区月出のアパートで、木下さんに対し背中を蹴るなどの暴行を加え外傷性ショックで死亡させ、その後、木下さんの口座から複数回にわたり、合わせて19万円余りを引き出し、盗んだ罪に問われていました。
これまでの裁判で早瀬被告側は起訴内容については「争わない」としたものの、「知的障害などがあり行動を制御できず、責任能力がない」として無罪を主張。
一方、検察は「知的障害が犯行に与えた程度は著しいとは言えず、早瀬被告には責任能力があった」と指摘。懲役8年を求刑していました。
23日の判決で熊本地裁の中田 幹人裁判長は、早瀬被告の犯行について「知的障害の影響は否定できない一方、暴行の違法性を認識し、周囲の状況を配慮していたことから責任能力があった」と指摘。
さらに「高齢の木下さんに対し、複数回の暴行を加えるのは執拗で悪質。
木下さんが反抗的な態度をとったことに腹を立てたという動機に酌むべき事情はない」などとして、懲役7年を言い渡しました。
最後に、中田裁判長は早瀬被告に対し「木下さんにしたことの重みを改めて考えて、その上で償いとして何ができるか考えてほしい」と諭しました。