【画像あり】「気持ち悪い」と話題に【閲覧注意】

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夜空が白くかすみ、地面が雪のように染まった。

仙台市青葉区で9月、街灯の周りを覆い尽くす無数の「白い群れ」が目撃された。

その正体は…「カゲロウ」

ネット上では「気持ち悪い」「大迷惑」といった悲鳴も投稿された。

駐車場が真っ白に…まるで“夏の雪”

青葉区折立や角五郎の牛越橋付近では、羽化したカゲロウが街灯に集まり、飛び回った末に地面へと降り積もった。

店舗の駐車場が白く覆われ、まるで季節外れの雪が降ったような光景だ。

信州大学 繊維学部応用生態学 平林公男教授
信州大学 繊維学部応用生態学 平林公男教授

信州大学繊維学部応用生態学の平林公男教授によると、発生しているのは「オオシロカゲロウ」。
「一時期に大量に羽化する特徴があり、大きな河川がある場所では全国どこでも起こりうる」と話す。

仙台市内では、広瀬川の流域近くで確認された。

なぜ一斉に?理由は「よくわかっていない」

大量発生の理由は、じつはまだはっきりしていない。

信州大学繊維学部応用生態学 平林公男教授:
天敵から逃れるため、一斉に羽化するという説もある。数万匹が一度に出れば、すべてが食べ尽くされることはない
オスとメスが同時に現れることで、交尾の確率を上げているという見方もある

カゲロウには口も腸もなく、何も食べずに数時間で命を終える。
その短い時間のために一斉に羽化し、交尾・産卵を終えて次の命へとつなぐ。

じつは“迷惑”な存在…スリップ事故やアレルギー被害も

はかない存在とはいえ、人間にとっては厄介な側面もある。

道路上に積もった死がいがスリップ事故を引き起こすほか、車のフロントガラスを覆い視界を奪うケースもある。

さらに、乾燥した死がいが空気中を舞うと…。

信州大学繊維学部応用生態学 平林公男教授:
放置された死がいが乾燥してバラバラになって、空気中に漂う。それを吸い込むと、人にとって異なるたんぱく質のため、アレルギー症状を引き起こす人がいる。死がいを放置しないことが対策として挙げられる

来年はどうなる?「川の機嫌次第」

カゲロウは川の中で幼虫期を過ごすため、発生は川の環境に左右される。

信州大学繊維学部応用生態学 平林公男教授:
雨や台風によって増水するなど、環境が不安定であれば、発生状況は毎年変わる。比較的同じ場所で、同じくらいの数が毎年確認されるということは、それだけその地域の川が、安定した環境を保てているという見方もできる

“命の営み”か、“迷惑な群れ”か

仙台の夜を覆った無数の羽。

はかない命が次の世代へつなぐ“自然の営み”である一方、人にとっては“迷惑な現象”でもある。

“夏の終わりの吹雪”が見せたのは、私たちが自然と共に生きているという現実だった。

仙台放送

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