多くのニワトリが飼育されている北海道白老町の養鶏場。
ここで高病原性鳥インフルエンザの感染が確認された。
全国の養鶏場で、今シーズン初めての感染確認となる。
「白い防護服を着た作業員を乗せたバス3台が中に入りました。これから、殺処分が行われるとみられます」(小出 昌範 ディレクター)
北海道は午前10時ごろから飼育されているニワトリの殺処分を開始した。その数、約46万羽。
卵をとるために北海道内で飼育されているニワトリの約8%に上る。

養鶏場の関連会社の関係者によると、この飼育場は周囲を囲い野鳥やネズミが入らないようにした他、出入りする車両の消毒を徹底してきたという。
それだけに今回の感染に困惑している。
鈴木直道北海道知事は冷静な行動を呼びかけた。
「流通している卵、鶏肉は食べて安心。根拠のない噂などに混乱しないでほしい」(鈴木 直道 北海道知事)

鳥インフルエンザで記憶に新しいのは、2023年のいわゆる「エッグショック」だ。
2023年に北海道各地の養鶏場で鳥インフルエンザの感染が相次ぎ、千歳市では市内の卵をとるためのニワトリの9割に及ぶ約120万羽が殺処分された。

この影響で卵の価格が高騰。
札幌市では1パック当たり313円まで上がった上に、品薄が続いた。
その後も高止まりが続き、現在の価格は293円。
60年ほど前からほとんど価格が変わらず「物価の優等生」と呼ばれていた卵だが、飼料の高騰が影を落としている。

農業経済に詳しい専門家は。
「この3~5年で、飼料が従来の値段の約1.7倍になっている。それによって鶏卵の価格が上がってきている」(酪農学園大学 日向 貴久 教授)
札幌市豊平区のスーパーでは、卵1パックを247円で販売。
今回の鳥インフルエンザの影響はあるのか。

「2年前のエッグショックの時は120万羽という大量の殺処分だった。今回はそれに比べると3分の1くらいの数なので、全く卵が入荷しないというのはないと思う」(キテネ食品館 中塚 誠 社長)
これから年末にかけての卵の価格について、専門家は。
「鍋、すき焼き、おでん、クリスマスケーキなどで鶏卵需要が増えるので、11~12月は卵の値段が上がる傾向にある。今回鳥インフルエンザで供給が少なくなるだろうから、一定程度影響は出てくるだろう」(酪農学園大学 日向 貴久 教授)

今後の卵の流通はどうなるのか。
北海道の担当者は「消費者の皆さんには、すぐなくなるわけではないので冷静な対応をしてほしい」としている。
北海道によれば殺処分は10月30日までに終え、清掃や消毒を11月2日までに完了する予定。
