宮崎県西都市の西都原考古博物館で、台湾鉄器時代の遺跡の国際交流展が開かれています。
この遺跡の出土品が日本で公開されるのは、今回が初めて。
出土品からは、金属加工などの高い技術力や海外と交流していた暮らしぶりが見えてきます。
(中村真菜記者)
「台湾の遺跡で発掘された非常に珍しい出土品が展示されているということで今から見に行ってきたいと思います」
西都原考古博物館で開かれている「千年の至芸 台湾宜蘭県 Blihun漢本遺跡」展。
台湾の国定考古遺跡に指定されているBlihun漢本遺跡から出土した今から約2100年から1100年前の土器やガラス製品など164点が展示されています。
これらの展示品は、すべて日本初公開のものです。
(西都原考古博物館 松本茂副主幹)
「日本でいうと弥生時代から古墳時代、奈良平安時代、そのあたりのところにかかってくる約1000年間。Blihun漢本遺跡の出土品はその年代に属するもの」
こちらは遺跡内の墓で見つかった金の装飾品や青銅製の刀の柄です。
冶金や金属加工、ガラスを溶かす技術などに長けた人々がいたことを物語っています。
(西都原考古博物館 松本茂副主幹)
「日本では弥生時代に金の製品とかというのは非常に少ないんですけれども(同時期の)この漢本遺跡では金箔のようなものを自分の遺跡で加工、あるいはガラス製品を自分たちで作ったりとか火を操って様々な工芸品を作る」
また、太平洋に面し、山に囲まれた遺跡からは魚の骨やシカの角などを加工した釣り針のようなものや装飾品も多く出土しています。
こちらはシカの角を磨いて人型の彫刻を施した刀の柄。儀礼用の剣に使用されていたと見られています。
(西都原考古博物館 松本茂副主幹)
「5.8センチという非常に小さなものだが、その中に細かい彫刻で人の顔と人物がしゃがんだ姿勢、それを表現した小さいながらも非常に貴重な一品になります」
このほか、会場には、赤い瑪瑙など東南アジアにルーツを持つデザインの出土品も。
台湾国内だけでなく東南アジアや中国大陸とも交流があったことが伺えます。
遺跡名の「Blihun」も台湾原住民・タイヤル族の言葉で「扉」という意味があり、この遺跡が山への入口でもあると同時に海を通じた世界への出口でもあったことを象徴しています。
(西都原考古博物館 松本茂副主幹)
「当時の人々がどんなことを思ってこういったものを作って使って身に着けて、どんな思いで当時の人が亡くなった自分の仲間を葬ったのか、そういったところにも思いをはせて頂けるとうれしいなという風に考えております」
この国際交流展は、11月24日まで西都原考古博物館で開かれています(観覧無料)