日本テニス協会が「日本で最も世界標準に近いコート」と評価するテニスコートが宮崎に誕生した。球足が遅く、ボールが高く弾む「スローハード」と呼ばれるコートで、10月から一部で利用が開始された。次世代の育成や国際大会開催への期待が高まっている。
テニス協会と伊達公子さんがアドバイス

宮崎県が総事業費約32億2000万円をかけて改修を進めてきた県総合運動公園のテニスコート「ひなたTENNIS PARK MIYAZAKI」。10月18日に24面のうち12面が完成し、オープニングセレモニーが開かれた。

この新しいテニスコートは、日本テニス協会や県テニス協会、伊達公子理事からのアドバイスを受けて、設計や工事が進められてきた。
「日本一遅く、跳ねる」世界標準に最も近いコート

日本テニス協会の山西健一郎名誉会長は、完成したコートを「日本のハードコートは世界基準に比べて球足が速いというプロの選手からの話があったが、ここは日本一遅く、かつ跳ねる。これが世界標準であり、日本で最も世界標準に近いのは、このコートだと思う」と評した。

テニスの四大大会の1つ、全豪オープンでは、摩擦により球足が遅く、ボールが高く弾む「スローハード」と呼ばれるコートが使われている。県の新しいテニスコートもこの「スローハード」だ。
伊達公子理事も高評価「国内では一番遅い」

会場入りした日本テニス協会の伊達公子理事は、真っ先にコートの感触を確認。打ち初めの中で、その特徴を実感した。

日本テニス協会 伊達公子理事:
人生でやってきたハードコートの中で、国内では一番遅い。速いコートは、ボールがバウンドした後にギュッと来るけど、今回は本当にそれがなかったので、遅いコートに仕上げられたんだと思う。

この日は早速、県内トップレベルの中学生たちが、新しいコートで練習した。伊達理事は、ジュニアなど若い世代にこのコートで利用してほしいと話す。
日本テニス協会 伊達公子理事:
比較的ハードコートでもラリーが長く続いて、バウンドが高くなるところで勝ち抜いていかないといけないのが、今の世界のテニス。(球足が)速いコートで練習していると、遅いコートに行ったら、調整する時間が必要になるが、ここで練習を積むことで、そこの誤差が最小限に収まる。
若手選手の声と今後の展望

早速、新しいコートで練習を行った中学生からは、「ハードコートなので、人工芝と違って足の負担もあって、体力的にもきついので、もっとこれから体力をつけていこうと思う」「いつもより滑らないし、ラリーがいっぱい続けやすくなったと思う」といった声が聞かれた。
2026年3月には屋内コートや管理棟も完成する予定で、24面を有する施設は国内トップクラスの規模となる。


世界水準のコートで目指すのは、2年後の宮崎国スポ・障スポだけではなく、次世代の育成や国際大会の開催だ。「日本屈指のテニスの聖地」を目指して、宮崎県の新しいテニスコートの歴史が始まった。

利用料金は、1面1時間あたり児童・生徒が270円、一般が530円。照明がまだ使用できないので、利用時間は午前9時〜午後5時となっている。
(テレビ宮崎)