日本三大奇祭の一つとされる「蛸舞式神事」が、2025年も鳥取県伯耆町の神社で19日に営まれました。山間で裸の男たちが暴れ回りました。
周りを山々に囲まれた伯耆町福岡地区。
こちらの小さな神社を舞台に行われたのが…グルグルと回されるふんどし一丁の男。
日本三大奇祭の一つとされる「蛸舞式神事」です。
神社の祭神である「速玉男命」が和歌山県沖で遭難した際、大きなタコに助けられ、この地を訪れたという言い伝えから、地元の守り神を助けたタコを崇め奉り、平安を願う伝統行事です。
午後1時この神事、スタートはとても厳かです。
祝詞をあげ、地区の平安と五穀豊穣を祈る…ここまでは普通の神事ですが、ここから急展開!
「行くぞ!オ~!」と声をあげながら登場したのは、ふんどし一丁の男たち。
突き上げられ、藁で作ったタコを持つ男性を担ぎ上げます。
荒れ狂う海の中、タコに助けられた祭神を表現しています。
そして神事はクライマックス…。
太さ20センチの木「丸梁」に抱きついたタコ役を残りのふんどし男がぐるぐると回転させます。タコに助けられた喜びを表しています。
タコの足にちなみ1度に8回転。これを何セットも繰り返します。
狭い堂内は、男たちの威勢の良い掛け声と熱気に包まれ、まさに奇祭です。
しかしこの伝統行事、一時は存続の危機に陥ったと言います。
氏子・南波康彦さん:
いかんせん人数が少ないので、人数がいる祭事なので、2人、3人じゃできない祭りなのでね。
過疎化が進むここ福岡地区。
地区の住民だけでは神事が執り行えないことから7、8年前から地区外からの参加者も認めるようにしました。
今回も19人中9人、ほぼ半分が県外からの参加者です。
京都からの参加者:
地元の方を見ても祭りを生きがいにしている方とか、文化・歴史を守りたいとおっしゃっている方もいるので、やはり続けていきたい。
なかにはこんな人も…「奇祭」の中で「異彩」を放つ存在。
お笑いコンビ・ジョイマンも地元ケーブルテレビの番組撮影で神事に参加。
「来るもの拒まず」であることが伺えます。
氏子・南波康彦さん:
これからもどんどんたくさんの人に来て頂いて、別に回らなくてもいいので、ただ中に入って「わーわー」言ってもらうだけでうれしい。
荒れ狂う海で活躍するタコを表現した『蛸舞式神事』。
存続の危機という荒波を乗り越えこれからも奇祭であり続けます。