少子化に伴い進んでいる小中学校の閉校や統廃合。こうした中、静岡市など各地で使われなくなった学校施設を観光施設や遊び場として活用する事業が進んでいます。
JR静岡駅から車で北に約40分。
豊かな自然に恵まれた静岡市葵区の中山間地オクシズの足久保地区です。
今から約800年前に「静岡茶」が初めて栽培された「静岡茶」発祥の地として知られています。
この地域の子供たちが通っていたのが旧足久保小学校。
少子化の波に押され2022年3月末で閉校し少し離れた美和中学校に移転しています。
市は小学校を有効活用するためのアイデアを民間から募り選考の結果、静岡市駿河区の建築企画会社の提案に決まりました。
永井学 記者:
小学校の校舎や体育館はどのように生まれ変わるのでしょうか?
静岡市資産活用推進室・高橋宜子さん
ご覧の通り自然に囲まれた環境なので、自然を活用しながら校舎は宿泊施設にグラウンドはキャンプ場にする予定
運動場はオートキャンプ場やサウナコーナーに。
校舎は宿泊施設やレストランに改修して観光客を受け入れます。
屋上にはカフェやビアガーデンを整備する予定です。
改修には国と静岡市が3億円を助成しますが施設がオープンした後の維持管理や運営の経費は事業者が負担し事業が続いている間、市は学校施設の使用料を受け取ります。
静岡市にとっては資産の有効活用とともに財政支出を削減でき地域の活性化につなげられます。
静岡市資産活用推進室・高橋宜子さん:
静岡市は山間部が多い地域で使える土地が少ない。有効に活用していきたい
使われなくなった小中学校は県内でもさまざまな方法で活用されています。
水の中から手ですくって現れたのは緑色に輝く“海ブドウ”。
4年前に廃校になった沼津市の旧内浦小学校ではプールを活用した海ブドウの養殖が始まっています。
2023年から本格的な養殖をはじめ夏の最盛期にはひと月500kgを出荷しています。
しずおか海ぶどうLABO・庄司昌弘 場長:
(養殖を始めて)いま3年ちょっと。他で最初から作るよりもやはり構造ができているので初期投資が抑えられる利点もあり、水を扱うというところで、ここの場所にできて良かった
静岡ではあまりなじみのない海ぶどうを特産にできればと、より良いものを目指し試行錯誤を続けています。
しずおか海ぶどうLABO・庄司昌弘 場長:
おいしい状態で食べてもらえるようになっていったらうれしい。
県内ではほかにも島田市で学校跡地にグランピング施設を整備し人気の宿泊施設にもなっています。
少子化や山間部の人口減少が進む中、学校という一定の広さを持った敷地と建物を活用し活性化を図る取り組みは今後さらに増えそうです。