三島市の人気インフルエンサーが新たに始めた“アナログ”な取り組み。一体なぜなのか?そのワケを取材した。
人気インフルエンサーが紙媒体へ
スマホで一心不乱に料理や食事風景を撮影するひとりの男性。

SNSで静岡県東部のグルメ情報などを発信するフォロワー数2万人超えのインフルエンサーだ。
街の人に聞いてみると「撮り方が上手いから食べてみたいなと思うことがよくある」「『ここ行きたい』というのを保存したり友達から送られて来て『これいいじゃん」みたいな感じ」などと彼の人気のほどがうかがえる反応が返ってきた。

そんな人気インフルエンサーがいま始めようとしているのがフリーペーパーだ。
令和の時代になぜ紙媒体の“フリーペーパー”作りに挑むのか?
SNSを見ない人たちにも情報を
三島市出身の大学3年生・大城拓真さん。
彼が中心となってインスタグラムで発信するのが「にじいろグルメ」だ。
この日は「にじいろグルメ」の撮影で、沼津市にある「和」をテーマにしたカフェ・六花を訪問。

店自慢のごま豆腐や揚げ田楽、そして食事風景まで細かくシーンを割って角度を変えながらスマホで撮影する。
2時間かけて完成した20秒ほどの動画。
撮影日の1週間後に投稿すると2000を超える「いいね」が付いた。
大城さんが2年前に始めた「にじいろグルメ」のフォロワー数は現在2万人を超えている。
SNS上で確固としたポジションを築き上げた大城さんがいま取り組んでいるのが、“アナログ”といえる紙を使ったフリーペーパー作り。

この日は仲間の大学生たちと打ち合わせ。
県東部などのグルメや話題のスポットなどを取り上げる予定のフリーペーパーの名前は「#IZUIS(イズイズ)」に決定した。
「『にじいろグルメ』の活動の中でSNSを見てくれる人はもちろん多いが、東部はまだ人と人との繋がりがすごく大事に思われている」とSNS以外での繋がりを模索していたと話す大城さん。

高齢者などSNSを見ない幅広い層にも地元の良いものを紹介したいと考えた結果たどり着いたのが紙媒体のフリーペーパーだった。
取材される側からも期待の声
大城さんがこの日、訪れたのは伊豆の国市にある建設会社・土屋建設。
この会社は本業の傍ら、耕作放棄地の有効活用と農業の担い手不足解消のため14年前に農業に参入し、ゴボウや大根などの野菜を生産している。

ゴボウの収穫を見て「え!こんなに長いんですか。ちょっと写真撮ります…1m20?でっかい」と取材を楽しんでいる様子の大城さん。
「にじいろグルメ」では動画を撮影していた大城さんだが、この日は、誌面用に写真撮影を繰り返す。
動画制作を始めてから少しずつ感じていた人と直接会話して、深く掘り下げて、その人の想いを聞くことのおもしろさ。
そのおもしろさや楽しさを「手に取れる冊子」として幅広い人たちに届けて、喜んでもらうことが目標になっている。

取材を受けた土屋建設広報の鈴木京那さんは「インタビューがすごく上手。取材相手の下調べをしてきて、質問がどんどん出てくるので全部に興味を持ってくれている感じがした。情報量がすごいと思うので、自分が(フリーペーパーを)見つけたら絶対欲しい」と期待を寄せた。

大城さんは「“人”が一番大事だと思っていて、何をするにもその人の思いや、一人ひとり違った思いが組み合わさって何かひとつのものになると思う。店の情報はもちろん、その人がどういう思いでやってきたかを載せることで、見たときに感動してもらえるような冊子を作れるのでは」と意気込みを語る。
はじめはフリーペーパーの存在すら知らなかったという大城さん。
人気インフルエンサーが手掛ける冊子は10月末頃の完成を目指している。
(テレビ静岡)