秋は「芸術の秋」ともいわれます。

病気や障害があっても自分らしく生きられるようにと、鹿児島市のクリニックが患者や地域の人が参加する文化祭を企画しました。

初日の16日は余命宣告を受けながらも、克服した患者のピアノ演奏も行われました。

丁寧に作られた紙細工の白鳥に、心が落ち着く盆栽。

鹿児島市喜入にある「きいれ浜田クリニック」では、芸術や文化に触れることで患者の心や体の健康を支えようと、病院と地域でつくる文化祭「はまてん」を初めて企画しました。

会場にはクリニックの患者が手がけた彩り豊かな絵手紙や長年書き続けてきた俳句など、様々な作品が展示されています。

中西沙綾記者
「こちらの作品はなんと103歳の患者さんがつくったという手編みの洋服やニット帽です。編み目も細かくて、とても温かみのある作品です」

103歳の患者さんは娘さんが送ってくる毛糸で編み物をするのが日々の楽しみだそうです。

きいれ浜田クリニック・濱田努院長
「文化的な処方といって、何かやってきたことや取り組んできたことを誰かに知ってもらったり、『すごいね』って言ってもらったり、それによってその人の生きる価値や
『これでいいんだ』と思う気持ちが生まれる」

また、認知症予防にもつながるとされる脳トレと運動を組み合わせたエクササイズもあり、多くの人が楽しみながら参加しました。

今回の文化祭では、ある挑戦をする男性がいます。

クリニックの患者の佐多芳昭さん90歳。

佐多さんは2024年、ガンで余命宣告を受けたものの克服し、その時生きる希望を与えてくれたのが大好きな音楽でした。

16日のためにピアノ演奏と歌の練習を重ねてきました。

佐多芳昭さん
「緊張していますよ。失敗したらどうしよう」

大学時代にピアノを学んだそうですが、認知症を患っているため楽譜は見ずに昔の記憶で演奏します。

来場者
「たくさん元気をもらいましたし、本当に感動しました」

佐多さん
「音楽はなあ、生きがいと長生きの薬」

歳を重ねても病気であっても自分らしく生きる。

そんな希望を与えてくれる文化祭「はまてん」は、18日まで鹿児島市喜入のコミュニティースペース「きいれば」で開かれていて、最終日にも佐多さんのピアノ演奏が予定されています。

鹿児島テレビ
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