宮崎県内では普通期米の収獲が最盛期を迎えています。
農林水産省によりますと、スーパーでのコメの店頭価格の平均は、10月5日までの1週間が5キロあたり4205円で、前の年の同じ時期に比べ887円高くなっていて、過去最高だった今年5月と同じ水準です。

消費者は負担を感じていますが、生産者も人手不足や資材の高騰などでコメを作り続けられるかどうか不安を抱えています。

綾町では生産者が消費者にコメ作りの大変さを伝える取り組みをしています。
綾町の綾・早川農苑で代表を務める奥誠司さんです。

奥さんは有機農業で年間約60種類の作物を栽培する傍ら、今年から消費者向けに田起こしから収穫までを行うコメ作りの体験会を始めました。

その名も「田んぼで泥んこプロジェクト」。
コメ作りの魅力と同時に大変さも知ってもらいコメの価格を考えてもらうのが狙いです。

(綾・早川農苑 奥誠司さん)
「普段が安すぎる。このままだったらコメ農家が無くなる。コメ専業は厳しい」

初めてとなる今回は、11の家族が参加しました。
苗を植える前、6月には泥遊びとジャンボタニシ取り、7月には手作業で田植えをしました。

そして10月13日、晴天の中行われたのが…。

「ここで稲刈りをします。大きいコンバインが入ってきます」

7アールの田んぼは黄金色に。参加者はコンバインで丁寧に刈り取られていく様子を見学。
この後籾の状態から、乾燥、脱穀、籾すりを経て、ようやく玄米となることなどを学びました。

(参加した子供)
「(コメ作りは)難しいことだったから、面白かった」

(参加者)
「あとはもみ殻をとって食べられると思ったが、まだ乾燥させないといけないということも知れる機会にもなり、苗植えの前から遊んだりできたのでいい体験になった」

(参加者)
「食べるまでにこんなに時間がかかるんだよというのを子供が分かってくれていたらうれしい」

(参加者)
「どういった流れでコメを作っているのか、大変さも分かったので、値段を考慮できる経験になった。(Q適正と思うコメの値段は)(5キロ)4000円くらいですかね」

綾・早川農苑ではこの3年で人件費が約1.25倍となり、苗代は1年でひと箱200円値上がりしたといいます。

コメをいくらで販売できれば作り続けられるのでしょうか。

(綾・早川農苑 奥誠司さん)
「キロ800円は割ったら厳しい。(5キロで)4000円から5000円。今後のことも考えて、日本人が日本人としてコメをずっと食べていくことを考えたら、その数字は下げない方がいい」

政府のコメ増産の方針に奥さんは、「いつでもコメが食べられる状況にするため賛成」だといいます。
一方で人手不足や需給のバランスを保てるか不安を抱えています。

(綾・早川農苑 奥誠司さん)
「増産体制にしたとしても、高齢化もある。本当に農家が農業できるのか。しっかりコメ農家が継続できるような価格設定にしないと今後増産体制にしてもダメ」

消費者は家計の負担を減らせないかと願いながらも生産者の側に立つとこれ以上コメの価格を下げられないのが現状です。

テレビ宮崎
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