腸にポリープや炎症などがないにもかかわら慢性的に腹痛や便秘などを繰り返す「過敏性腸症候群」。代表的な症状や受診の目安を医師に聞いた。

ストレスが悪化の原因に
日本人の10%あまりに患者がいるとされる過敏性腸症候群。福井大学病院・消化器内科 内藤達志医師に話を聞いた。
「腹痛、便の回数、性質や状態の変化を主とした病気で、ストレスが多い時期には多くなる傾向がある」と内藤医師。「若い世代がなりやすいが、最近は年配の人にもみられる」という。

過敏性腸症候群は、症状によって4つのタイプに分類される。▼便秘型▼下痢型▼混合型(便秘と下痢が交互にある)▼分類不能型、つまりどこにも当てはまらないタイプだ。

3カ月以上の不調は受診を
軽い症状に思えるかもしれないが「下痢型でお腹の痛みがあり、一日に何度もお手洗いに行くため、日常生活に支障をきたす人もいる」という。ひどいと、通勤の際のバスの中でトイレに行けず通勤が難しい人もいる」(内藤医師)
受診の目安について内藤医師は「3カ月以上、腹痛や下痢、便秘が続くようなら、消化器内科の医師に相談をしてほしい」とする。「大腸がんや腸炎を見逃さないことが重要なので、自己診断せず大腸内視鏡の検査でがんや腸炎がないことを確認したり、精神科を受診してうつ病ではないことを丁寧に確認する必要がある」

中にはうつ病と診断される人もいるため、その場合は心療内科と連携した治療が必要となる。「ストレスで症状が悪化することが知られている。ストレスを除外することは難しいが、あまりため込みすぎないことも大事」だという。

日常生活では「食事については香辛料やカフェインなどの刺激の強いものや、油ものを避けることで症状がよくなることがある」という。
また「インストラクターについてヨガやエアロビクスなどの運動をすると症状が和らぐとも言われている。気分が良くなると、脳と腸は密接に関係しているので、腸に影響する」と内藤医師。

まずは、3カ月以上の長引く不調がある場合は自己判断しないでまずは病院を受診しよう。
