熊本市のアパートで、同じ施設に通う女性に暴行を加え死亡させた罪などに問われた男の裁判員裁判です。14日の初公判で被告の男は起訴内容を認めましたが、弁護人は「責任能力が無い」として無罪を主張しました。

起訴されているのは、熊本市東区長嶺南に住む作業員、早瀬 真吾 被告(43)です。

起訴状などによりますと、早瀬被告は去年4月、同じ就労支援施設に通う木下 春千代 さん(当時71)が住む東区月出のアパートで、木下さんに対し、腹を蹴ったり胸を踏みつけたりするなどの暴行を加えて死亡させたほか、木下さんの口座から7回にわたり、合わせて19万円余りを引き出し、盗んだ罪に問われています。

熊本地裁で開かれた14日の初公判で早瀬被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。

弁護側も起訴内容については「争わない」としたものの、「知的障害などがあり行動を制御できず、責任能力がない」として無罪を主張しました。

検察は冒頭陳述で「早瀬被告は交際相手の木下さんが自分の言うことを聞かず、反抗的な態度を取ったことに腹を立て、犯行に及んだ」と指摘。「知的障害があったが犯行への影響は大きくない」として、早瀬(はやせ)被告には刑事責任能力があるとしました。

午後からは、精神鑑定を行った医師への証人尋問が行われました。

この中で、医師は「被告が公共の場ではなく、自宅で暴行を加えたり、自分より立場や力の弱い女性に対してのみ暴力を振るったりしていた」と指摘。「違法性と反道徳性を認識していた」と証言しました。

その一方で、「ささいなきっかけから過剰な暴行を加え、死亡させたもので、知的障害が犯行に影響を与えた可能性は否定できない」としました。

15日は被告人質問が行われ、あさって16日結審、判決は10月21日に言い渡される予定です。

テレビ熊本
テレビ熊本

熊本の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。