2025年、プロ野球パ・リーグの戦いを制した福岡ソフトバンクホークス。プロ生活18年目の中村晃選手(35)は、自身の経験としては7度目となる優勝の美酒を味わった。今シーズン、チームを牽引したベテランに話を聞いた。
35歳にして訪れた選手としての岐路
2025年9月23日、大阪の京セラドームで行われた対オリックスバファローズ戦。勝利が決まった瞬間、優勝のボールをキャッチしたのは、ファーストを守っていた中村晃選手だった。

「“グラブを置こうか”というところからスタートして、そう考えると、感慨深いものがあったな。最後、優勝の瞬間にファーストを守れたのは嬉しかったです。楽しく充実したシーズンだったと思います」

開幕前に小久保裕紀監督(54)から“代打専任”を告げられた中村選手。35歳の選手として訪れた岐路だった。しかし代打専任だったはずが、主力選手の相次ぐ離脱で一転、シーズン開幕直後からスターティングメンバーに。4番打者としてもチームを支え、最後までシーズンを完走。ホークスのリーグ連覇に大きく貢献した。

「(自分にスタメンを告げた時の小久保監督?)いや、申し訳なさそうというか、いい表情ではないのは、間違いない。まあ、でも覚悟を決めて僕に話してくれたと思うので、そこは僕もチームのためだと思ってスタメンでっていうことを優先しました」

スタメン復帰初戦でいきなり2安打1打点の活躍。オープン戦で行わなかった守備にも4月半ばから就いた。
「最後まで勝って終わりたい」
プロ野球人生の節目の1500安打もホームランで達成し、終わってみれば約7割となる98試合にスタメン出場。代打でもチームを勝利に導く一打を放つなど大活躍のシーズンだった。
「代打でも何本か打てましたし、ポイントポイントでいい働きは去年よりはできたので、そこはよかった」

同じファーストという守備位置の被る山川穂高選手(33)の加入により、代打での出場が増えた昨シーズン。慣れない役割に苦労し、代打の得点圏打率は1割3厘と低迷した。しかし今シーズンは、5割を超える脅威の数字に。プロ18年を迎えても、絶えず努力を怠らないその姿は、後輩の目にしっかり焼き付いている。

「若手選手に見られている感覚はないですけど、歴代の先輩方の姿を見て僕も育ったので、それをしっかり受け継いでいけるよう、そして下の代に伝えられるよう意識はしています」

リーグ連覇を達成し、次なる目標は、もちろん“日本一奪還”だ。

常勝軍団を支える頼りになりベテランの言葉。持ち前の勝負強さに期待がかかる。
(テレビ西日本)