秋田・横手市にある横手清陵学院高校「無線部」。文化部に分類されているが、その実、活動は体力勝負なのだという。取り組むのは、無線技術を使って隠された送信機を探し出す競技。全国大会に出場する強豪校であり、日本代表として世界大会に出場した部員もいる注目の部活動だ。
全員“初心者”からスキルアップ
無線の受信機を手に集まる生徒たち。横手市の横手清陵学院高校「無線部」のメンバーだ。3年生6人と1年生8人の14人で活動している。

「無線」と聞くとアマチュア無線で交信しているイメージを思い浮かべる人が多いかもしれないが、部員たちが取り組んでいるのは「アマチュア無線方向探索(ARDF)」だ。

ARDFは、受信機や地図などを使って広い会場に隠されている送信機を探し出し、見つけた個数とタイムを競う競技だ。

送信機は色々な所に隠されていて、他の人より早く見つけなければならない。そのため走って移動することも多く、体力勝負となる。
部員たちは、探索の練習の他、校舎の周りを走るなどして体力づくりにも取り組んでいる。

齋藤脩吾部長は「部員全員が高校から初めて無線部に入り、全員初心者だったが、日々の練習を通してチームワークも上がり、一人一人のスキルもどんどん高くなった。大会では良い結果を残せている」と自信をのぞかせる。
“好き”を追求し世界大会へ
7月に新潟県で開かれたARDFの高校全国大会では、クラシック部門の学校対抗で頂点に輝いた。

個人の成績で2位とチームを引っ張ったのは、3年生の佐藤香月さん。佐藤さんは同じ高校の無線部出身の兄に勧められ、2024年に無線の世界に飛び込んだ。
佐藤さんは「実力がはっきりと出るのでやっていて楽しい。競技の結果で自分の足りないところや補わなければいけないところを知ることができるので楽しい」とARDF競技に夢中だ。
兄から探索のこつや体力づくりについてもアドバイスをもらい、めきめきと実力をつけた。
負けず嫌いで、いつも「見つけるまで絶対帰らない」という強気でやっていると話す佐藤さん。

8月にはリトアニアで開かれた世界大会に日本代表として出場し、団体で3位に入った。
無線を始めて2年。部活であり、自分の好きなことでもあるARDFについて「自分の好きをどこまで追求していくか、これからの練習を含めて、どこまで自分を高めていくかが分かる競技」と話す佐藤さんは、ますますその魅力に引き込まれている。
最後の大会で結果残したい
ARDFは自分との闘いで「自分にどれだけ勝てるかが勝負になるところが一番の魅力」と話す部員たち。目標物を見つけたときは達成感であふれるという。
無線部は10月18日から福井県で開かれる全国大会に臨む。3年生にとっては最後の大会だ。

齋藤部長は「いままでの練習や仲間とのチームワークを最大限に生かして、良い結果を残したい」と意気込む。
横手清陵学院高校「無線部」は、これからも無線版の“宝探し”のようなARDF競技に情熱を傾ける。
(秋田テレビ)