5年前、菊池広域連合消防本部に勤めていた当時47歳の男性が、上司のパワハラを苦に自殺した問題をめぐり、遺族が消防本部に約1億1850万円の損害賠償を求めている裁判の判決。熊本地裁は10月8日に「消防本部は安全配慮義務に違反していた」などとして8370万円あまりの賠償を命じた。
24時間勤務後に上司から自宅で長時間指導
訴えを起こしているのは菊池広域連合消防本部に勤めていた男性(当時47)の遺族。

判決などによると、男性は1998年ごろからの約20年間、『反省会』と称して24時間の勤務明けに、上司から自宅で長時間にわたる指導を受けたり、担当ではない業務を指示されたりして2020年1月にうつ病などと診断され入院。

約3カ月後に職場に復帰したが再び入院し自殺した。遺族は菊池広域連合消防本部の安全配慮義務違反を訴え、約1億1850万円の損害賠償を求めていた。
「上司の言動は社会通念の範囲を逸脱」
10月8日の判決で熊本地裁の川崎聡子裁判長は「上司の言動は強い心理的負荷を与えるもので、社会通念上許容される範囲を逸脱し、消防本部は安全配慮義務に違反していた」として、計8370万円あまりの支払いを命じた。

この問題をめぐっては、第三者調査委員会が自殺とパワハラの因果関係を認め、公務災害に認定されている。消防本部はTKUの取材に対し「司法の判断を真摯に受け止め、判決内容を十分に精査したうえで、今後の対応について検討する」としている。
(テレビ熊本)