5年前、菊池広域連合消防本部に勤めていた当時47歳の男性が上司のパワハラを苦に自殺した問題をめぐり、遺族が消防本部に約1億1850万円の損害賠償を求めている裁判の判決です。熊本地裁は8日、「消防本部は安全配慮義務に違反していた」などとして8370万円あまりの賠償を命じました。
訴えを起こしているのは菊池広域連合消防本部に勤めていた男性の遺族です。
判決などによりますと、男性は1998年ごろからの約20年間、「反省会」と称して24時間の勤務明けに上司から自宅で長時間にわたる指導を受けたり、担当ではない業務を指示されたりして2020年1月にうつ病などと診断され、入院。
約3カ月後に職場に復帰しましたが再び入院し、自殺しました。
遺族は、菊池広域連合消防本部の安全配慮義務違反を訴え、約1億1850万円の損害賠償を求めていました。
8日の判決で、熊本地裁の川崎 聡子裁判長は「上司の言動は強い心理的負荷を与えるもので、社会通念上 許容される範囲を逸脱し消防本部は安全配慮義務に違反していた」としてあわせて8370万円あまりの支払いを命じました。
この問題をめぐっては、第三者調査委員会が自殺とパワハラの因果関係を認め公務災害に認定されています。
消防本部は、TKUの取材に対し「司法の判断を真摯に受け止め、判決内容を十分に精査したうえで今後の対応について検討する」としています。