雨が降りしきるなか、下を向いてその場にとどまる1頭のクマ。

 クマが目撃されたのは札幌市西区山の手5条10丁目付近の住宅街です。

 約500メートル先には小学校もあります。

 10月9日午後7時30分ごろ、歩いて帰宅していた女性が目の前でクマが横切るのを目撃しました。

 体長は約1メートルで、女性との距離はわずか4メートルほど。

 クマはそのまま北方向に走り去りました。

 しかし、約1時間40分後、再び付近の林にクマが出没。

 「林に現れたクマはクリを食べるなどして1時間ほど居座り、その後、林の奥に逃げていったということです」(東木場緋香記者)

 「ちょっと怖いですね。これまで人ごとのような感じだったんですけど、実際この距離で見ると怖かったです」(目撃者)

 警察は出没したのは同一の個体とみています。

 出没を受け、付近の小学校では見守り登校が行なわれ、警戒が続きました。

 「危険だ。こんな近くに(クマが)出るとは思わなかった。早く対処してほしい」(住民)

 「最近クマのニュースで(子どもが)怖がっている。友達と集団で帰ってくるよう伝えた」(住民)

 その後行われた市の調査では、クリを食べた痕やクマの古いふんが複数みつかったということです。

 「古いふんが何か所かにあるので、何回か繰り返し出てきているような跡があった。そんなに大人の個体ではなくて若い個体。近くに親がいる可能性もなくはない。30分程度滞在していたことを考えると、クリの木が誘因物になっている可能性がある」(札幌市環境都市推進部 清尾崇さん)

 一方、北区でも…

 「クマはこの辺りで目撃され、その後、北に立ち去ったということです」(蒲生美緒記者)

 9日午後6時10分ごろ、札幌市北区篠路町上篠路で、車を運転していた女性から「住宅の敷地内で子グマっぽい動物を見た」と通報がありました。

 クマは体長90センチほどでした。

 この2時間ほど前には約2キロ南、丘珠空港に近い東区栄町の草地で散歩中の女性から「用水路から『グォー』というクマのような鳴き声を聞いた」と通報もありました。

 丘珠空港周辺でのクマ出没と言えば2021年、住宅街にクマが現れ、次々と人を襲い、男女4人がケガをする事故がありました。

 当時用水路を使って移動するクマの様子も確認されていて、現場には緊張が走りました。

 北区と東区の両方の現場を調査した札幌市は…

 「近くに山がある状況ではないので、(クマの)可能性としては低いと思っています」(札幌市環境都市推進部 藤田将さん)

 2025年度、札幌市内の出没情報は228件(10月9日時点)。

 2024年の同じ時期の3倍近くに達する事態となっています。

 引き続き十分な注意が必要です。

北海道文化放送
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