13年連続で修学旅行先ランキング1位を誇る京都。

しかし、今その不動の地位に異変が起きています。物価の高騰とオーバーツーリズムによる混雑が深刻化し、いま、行先を京都から変更する動きが出てきています。

修学旅行の「京都離れ」の実態を調べました。

■“班別行動”の中学生に密着 市バスは満員で乗れず...

6日、京都を訪れた東京都江東区南砂中学校の3年生。この日は班に分かれて市内を散策。密着した3人組のしおりには分刻みで予定がびっしりです。

【生徒】「(予定は)たぶんパンパンな方です。やばいかもしれない」

午前中、伏見稲荷大社へ向かおうと駅を出ると、平日にも関わらず大混雑...

京都といえば懸念されているのが「オーバーツーリズム」。

渋滞や駐車場不足が深刻なためこの学校でもここ数年、貸切バスでの移動を控え、公共交通機関を使うようになりました。

しかし、市営バスで移動しようにも…到着したバスは既に満員で乗れませんでした。

【生徒】「いけるかな…乗れませんでした」
【生徒】「まぁ、10分後に来るので」

生徒たちは至って冷静ですが、京都では公共バスの混雑や遅延も問題に。

(Q:京都の印象は?)
【生徒】「外国人多いなってやっぱり」

ただ、混雑は感じながらも京都は満喫できたようで、南禅寺では初めて見る水路閣に大興奮。

その後も平安神宮や八坂神社などを訪れ、無事、予定していた行程を回り切りました。

【生徒】「東京では味わえない神社とか迫力を味わえて、また来たいと思いました」

■「来年は長崎に」修学旅行先を変更する学校も

「また京都に来たい」という生徒たち。一方で、学校側は、京都の現状に頭を抱えていました。

【江東区立南砂中学校 近藤啓太校長】「荷物の配送料や食費がどんどん上がっていってるので十分まかなえるだろうと思ってた金額では足が出る。拝観料も上がってます。こちらが想定している以上の高額になってるのが現状」

そんな学校側が下した決断は、開校以来初となる「修学旅行先の変更」。

【江東区立南砂中学校 近藤啓太校長】「来年は長崎に行ってみようかなと」

開校以来修学旅行の行き先は京都でしたが、物価高騰などを理由に初めて行き先を変更する決断を下しました。

混雑や物価高騰を理由に「修学旅行先を京都から変更する動き」が出てきているのです。

■中学校の修学旅行先として13年連続1位だった京都 すでに新幹線の予約状況に影響も

修学旅行の定番だった京都。中学校の修学旅行先として、13年連続1位でした。

ただ、日本修学旅行協会によると、修学旅行は大人数の予約になるため、2年ほど前に行き先を決めることが通例。

京都を避ける動きは、今後広がる可能性があるといいます。

実際、東京から関西に向かう新幹線の修学旅行専用列車の予約状況に影響が出ているそうで…

【日本修学旅行協会 竹内秀一理事長】「2026年度関西(の申し込み)が397校あったんです。それが2027年度、(申し込みが)345に減ってるんですよ。トータルだと52校減ってるんですよね。」(※全て東京の公立中学校のデータ)

■修学旅行生を長年受け入れてきた旅館は「修学旅行先の京都離れ」に危機感

こうした動きに危機感を抱いているのが、長年、修学旅行生を受け入れてきた旅館です。

70年以上続く日昇別荘では、宿泊客のおよそ半数が修学旅行生。物価高騰の中でも、宿泊代金には転嫁せずに対応してきましたが…

(Q:旅館の経営にもやはり影響は?)
【日昇別荘・山本孝明支配人】「そうですね。少なからずともあると思います。利益が薄くなりますけれど、安全、安心というものを担保するために、我々も頑張っているところです」

■京都市の調査では去年の修学旅行生の数は前の年より7.4%減少

京都市の調査では去年の修学旅行生の数は前の年より7.4%減少。

京都市は混雑や物価高騰を理由に京都を避ける動きがあり、今後も修学旅行生が減少する懸念があるとしています。

【京都市・松井孝治市長】「京都の魅力を味わっていただく入口は修学旅行、教育旅行だと思いますので、将来的な学びにつながるようなプログラムをこれから開発していきたいので、どうぞこれからも京都においでください」

■新たな修学旅行先として、関西の他自治体が「我こそは」と名乗りをあげ

京都をさける動きがある一方で、関西の他の自治体が、我こそは!と修学旅行先に名乗りをあげています。

神戸市は去年から新たにSDGsについて学ぶ修学旅行のプログラムを創設しました。
神戸に本社を置く企業での学びを学校側にアピールしています。

【神戸観光局観光部 松本寿之部長】「(修学旅行の班別行動は)京都の神社仏閣(巡り)とUSJがかつての鉄板で、もう1カ所くらいの(候補の)中の1つが神戸であってほしいな」とその狙いを語ります。

このプログラムの一環で先週、神戸市内の通販大手「フェリシモ」を訪れたのは、東京の私立、杉並学院高等学校。

実際に東京都中央区にある私立高校は、2年前から物価高や混雑が理由で広島を訪れた後、京都へ行く予定を神戸に変更したとそうです。

(Q:京都じゃなくなって残念という声はあった?)
【杉並学院高等学校 山田道夫校長】「それは多少ありますね。先生の中にも京都の歴史を学ぶことは大事という声もあるんですけど、広島でも歴史は学べるし、神戸にもあるし、総合的に学習してもらえれば」

■対策始まる京都市 高額宿泊税で環境整備へ

オーバーツーリズムが課題となっている京都市も対策に乗り出しています。

京都市は宿泊税を全国最高額の最高1日1万円に引き上げることを来年3月以降に目指していて、現在の最高額は1000円なので、大幅な税収増が見込まれています。

今年度の宿泊税の活用例としては、スーツケースを持たない「手ぶら観光」の推進による混雑の緩和や、修学旅行の体験学習の費用支援に当てられるという。

広がりを見せる行先変更の動き。学校生活の大切な思い出、修学旅行が安全に楽しく進むよう対策が求められています。

(関西テレビ「newsランナー」 2025年10月8日放送)

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