文豪・夏目漱石と熊本との関係を未来に向けて活用します。熊本県内の自治体や大学、団体などでつくる『漱石文化みらい会議くまもと』の有識者会議が9月29日、熊本市の大西市長に、2026年4月からの記念事業の意義や方針などをまとめた提言書を提出しました。
【熊本県立劇場 姜 尚中 館長】
「一言で言うと〈保存から活用〉。漱石を保存するというのではなく、フリーズしている限りは未来があまりないので、未来に向けて活用しようと」
文豪・夏目漱石。2026年は第五高等学校の英語教師として赴任して、130年であり、没後110年。2027年は生誕160年に当たります。これらの記念の年を盛り上げ、4年3カ月にわたる熊本時代の漱石を広く知ってもらおうと『漱石文化みらい会議くまもと』が設立され、6月に有識者6人が意見を交わしました。
【肥後銀行 笠原 慶久 頭取】
「未来に向けて、漱石を軸として文化を豊かにしていこうという会議だと思っています」
【熊本県立大学 半藤 英明 名誉教授】
「旧居が残る熊本市ではなく、熊本県という単位で漱石を捉えることも考えなければならないのではないか」
これらの意見は提言書にまとめられ、9月までに県内の漱石ゆかりの自治体や関係団体などに提出されました。
方針の大きな柱は、熊本との関わりを国内外に発信すること。文学作品の魅力を次世代に継承すること。そして、熊本での足跡をつなぐこと、としています。
具体的には、漱石ファンが多いという韓国や中国との国際シンポジウムの開催やゆかりの地を巡る観光ルートづくり、そして、『熊本漱石音頭』を作ることなどを挙げています。
【熊本市 大西 一史 市長】
「松山だと『坊ちゃん』があって、『盛り上がっている』とよく言われますが、熊本でも皆さんが非常に熱心に活動していらっしゃるので、これをもっと多くの人たちに知っていただくような機会をたくさん作っていく必要があるだろうと思っています」
【熊本県立劇場 姜 尚中 館長】
「漱石の作品の中に、今の若者のさまざまな悩みとか思うことがたくさん詰まっているんです。未来の若者が自分たちの文化的な財産だと生きた形で分かるようにしていくべきではないか」
『漱石文化みらい会議くまもと』は、2026年2月末までに事業計画を立て、4月からの記念事業を広く発信し、成功させたいとしています。