長野県軽井沢町で大学生など15人が死亡したスキーバス事故は、2026年1月で発生から10年です。事故の風化を防ぎたいと遺族が町内の高校で講演し、安全運行への思いや命の大切さなどを伝えました。
事故で次男を亡くした・田原義則さん:
「被害者の子どもたちは悔しさは計り知れません。私たち残された家族は何年たってもあの日のことは忘れていません」
軽井沢高校で行われた講演会。悲痛な心中を語ったのは、大阪府吹田市の田原義則さんです。次男を失った事故から2026年1月で10年がたちます。
2016年1月15日未明、軽井沢町の国道でスキーツアーバスが道路脇に転落。大学生など15人が死亡し、26人が重軽傷を負いました。
バスは時速およそ95キロで走行していて、下り坂のカーブを曲がり切れなかったとみられ、ギアやブレーキの操作ミスが原因とされました。
また、死亡した運転手が大型バスの運転に不慣れだったことも判明。運行会社のずさんな管理体制が明らかになりました。
講演会は、事故の風化を防ぎ、交通安全の意識を高めようと企画され、田原さんと、事故で長男を亡くした大谷慶彦さんが登壇しました。
田原さんは、交通安全について、自分の身に置き換えて考えてほしいと、生徒に質問を投げかけました。
事故で次男を亡くした・田原義則さん:
「友人とバス旅行を計画して、インターネットで格安バスツアーを見つけた。あなたならどうしますか」
生徒:
「バスの運転手が複数人いるか、コースを確認したり、休憩がどれだけあるかを確認します」
事故で次男を亡くした・田原義則さん:
「100点満点の答え、ありがとうございます。できたらそこまで調べてから利用してほしい。あやしいと思ったら乗らない」
講演を聞いた高校生は―。
生徒:
「より詳しく、どういう気持ちで事故の後、過ごしているのか知れて、これからより一層、交通安全について考えようと思った」
事故で次男を亡くした・田原義則さん:
「もう一度(事故のことを)知ってもらって、自分たちで何ができるかを考えてもらえたらいい」
事故で長男を失った・大谷慶彦さん:
「事故を風化させない。しっかり皆さんの記憶に残してもらい、交通安全に関して自分事として考えて、より交通安全に一つでもやってほしい」
事故を巡っては、運行会社の社長と、当時の運行管理者の裁判が続いています。