7日午後、「ノーベル生理学・医学賞」受賞が決まった大阪大学の坂口志文特任教授と、妻の教子さんが、夫婦揃って会見に臨んだ。坂口さんは二人三脚で研究を続けてきた妻への感謝をユーモアを交えて伝え、一方、妻の教子さんは“研究の魅力”を身振りを交えて表現した。イット!に生出演した坂口さんは「半分のがん患者を救う」と研究の将来に期待を示した。
待望のノーベル賞受賞決定から一夜…
ノーベル生理学・医学賞の受賞決定から一夜明け、大阪大学の吹田キャンパスで多くの職員や学生らから祝福を受けた坂口志文特任教授。

7日午後1時、妻・教子さんと夫婦揃って会見に臨んだ。

妻・教子さん:
認められるまで結構時間がかかったんですよ、最初。長い間苦労して色々やってきたのがこういう形になって本当に良かったと思います。
冒頭で、声を詰まらせながら喜びを語った教子さん。

1980年代にアメリカに渡って以来、二人三脚で研究を続けてきた坂口さん夫婦・・・2人の“役割分担”を明かしてくれました。

坂口志文特任教授:
家内の方が器用ですので、細かい実験やなんかは任しておけるということがあった。ですけど逆にマウスをいじったりとか、動物をいじったりというのはなかなか苦手ということでその辺りは私がいろいろ実験をやっておりました。
お互いについては“自分にないところを補い合える関係”だという。
坂口志文特任教授:
いろんな判断をしますときに、日常生活で。彼女なりの、女性らしい判断と言いましょうか、そういう知恵というのは私にはないものですので、そこはありがたいと。すごいおっとりした性格。静かで。そういうところが気に入ってます。私にないところです。
一方で“共通の趣味”について質問されると・・・

妻・教子さん:
ぜんぜんないです。
坂口志文特任教授:
仕事を一緒にしとるというか、一緒にご飯をたべるとかその程度。
妻・教子さん:
いやいや“抱える問題を(2人で)解決する”とか。

坂口志文特任教授:
そういう意味では“同志”と言ったらいいんですか。
妻・教子さん:
そういうのを1人じゃなくて2人で対処してきたんですけど、そういう意味の“同志”って事だと思います。

坂口さんが発見したのは、人間の体内での過剰な免疫反応を抑えるリンパ球「制御性T細胞」。
体の中にウイルスなどの異物が侵入した場合、免疫細胞が攻撃して外敵から守る。

しかし免疫細胞は時に暴走し、正常な細胞まで攻撃してしまうが、この暴走を防ぐブレーキ役が「制御性T細胞」だ。
過剰な免疫反応を抑えることで、様々な病気の治療に繋がることが期待されている。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
身近なもので言うと「花粉症」や「じんましん」さらには「アナフィラキシーショック」それから「潰瘍性大腸炎」や「ぜんそく」「膠原病」」「免疫の暴走によって起こる病気の場合は、根本を治す治療になるので、非常に効果も強いし、期待もあると思う。
さらに“がんの治療法開発”への期待も高まる。

がん細胞は制御性T細胞を引き寄せ、免疫の攻撃をブロックする壁を作る。
しかし制御性T細胞を減らすことができれば、免疫細胞ががん細胞を攻撃しやすくなるとして、治療法の確立が期待されているのだ。
坂口特任教授がイット!に生出演
先ほどイット!に生出演した坂口さんは・・・

坂口志文特任教授:
制御性T細胞というのは、がん組織にたくさんいます。免疫反応を抑えているんですね。ですからそれを抗体薬などで減らしてやれば現在のがんの免疫療法はもっと効果的になるのではないかというのが1つ。

坂口志文特任教授:
もう一つは、進行したがんではなくて初期のがん、がんが診断された時から免疫反応をあげる。がんで亡くなる方の90%は転移でなくなります。その転移が90%が半分になったと、免疫力をあげることで。そうすると半分のがんの患者さんを救うことになります。
坂口志文特任教授:
(Qいつ頃までに?)がんの免疫療法、押さえる方のアレルギーとか、そういうものも20年以内の間には普通のお医者さんに掛かられた時に治療法の一つになっていることを期待しています。
(「イット!」10月7日放送より)