高市新総裁で連日の株高・円安。
私たちの暮らしにはどんな影響があるのか、フジテレビ・智田裕一解説副委員長とお伝えします。

青井実キャスター:
東京株式市場は7日も日経平均株価が最高値を更新しました。円安も進んでおります。“高市トレード”なんて言われていますが、市場の動きを智田さんはどう見ていますか?

智田裕一解説副委員長:
この株高の一番の要因は、高市新総裁が掲げる積極財政への期待なんです。積極財政というのは、国が使うお金を増やして景気をよくしていこうという政策のことですが、高市さんは就任後の会見で物価高対策、これで地方に配るお金を増やしたり、中小企業を支援したり、減税に取り組んだりすることを挙げたんですが、こうした政策で景気が刺激されて上向いていくと市場が捉えて、株価が上昇のピッチを強めていると。

青井実キャスター:
ニュースで株高くなったなと皆さんも見ると思うんですよ。でも、円安と株高って国民にとっていいことなんですか?どう捉えればいいですか?

智田裕一解説副委員長:
株高だけ見ると、企業にとってはいいことですが、今の株高というのは期待で押し上げられている面が強くて、実体を伴っているとはいえないんです。今、強まっている円安のほうも輸入品の価格上昇を通じて、さてなる物価高につながってしまう可能性もあります。

宮司愛海キャスター:
そうすると、賃金を上げて実質賃金をしっかり増やしていくことが大事だと思うんですが、ただそうなりきっていないのが現状なわけじゃないですか。高市さんになってそれがどんどん良くなるんですか?

智田裕一解説副委員長:
この先暮らしがよくなったという実感につなげるためには、企業が利益を賃上げに回して、物価高を上回る賃金上昇が実現して、消費が増えていくという好循環を生み出していく必要がありますが、今、期待先行で株価を押し上げている高市さんの政策が実際に暮らし向きをこれからよくしていくのか、これからが正念場だと思います。

宮司愛海キャスター:
そんな中、高市さんは積極財政というスタンスですが、ガソリン暫定税率、年収の壁、財源がないと、と慎重な考えを示してきた自民党の宮沢税調会長が退任するとの報道もありますが、この辺りって高市さんにとっていい後押しになるんですか?

智田裕一解説副委員長:
宮沢さんが退任した場合、宮沢さんと同じような財政規律派の人が後任になるのか、それともお金を使っての成長を重視する成長路線の人がやってくるのか、ちょっとまだ分からないところはありますが、高市さんの後ろ盾となっている麻生さんも財務相の時は税収に見合った支出を基本にする“財政規律”を重んじるといわれていた人なんです。なので、党内にいる財政規律派の人たちとのバランスもうまくとって、上手に経済を成長させていけるかということで、高市さんの手腕に大きな関心が寄せられているということです。

青井実キャスター:
でも、高市さんが副総裁として選んだということですよね。
山口さんにも聞いていきます。経済政策うまくいくんですか?

SPキャスター・山口真由氏:
積極財政って高圧経済みたいな言い方をしますが、世界のトレンドになっていますよね。財政と金融療法で刺激して需要超過にすると。それで財政規律って日本では言い続けていますが、政府赤字が必ずしも悪くはなくて、対GDP比で一定程度にとどめましょうとなってきていて、高市さんもそれを意識していると思いますが、背後に麻生さんとかを背負って財務省とかもいる中、果たして高市さんが思う政策ができるのかなとはちょっと気になるところがあります。

青井実キャスター:
宮沢さんが退任という報道もありますが、このスタンスがどう変わっていくかということですね。税調が代わったら変わるのかなと。

SPキャスター・山口真由氏:
高市さんの出馬会見を見ると、財務省に対してはマイルドな形でおっしゃっていて、SNSでいわれるようないわゆる「財務省攻撃」といわれるものと一定の距離を置いているように見えますので、そこがこれからどう発言が変わってくるのかなと思います。

智田裕一解説副委員長:
あと高市さんが就任して日銀が利上げしにくくなったとの見方が広がっていて、それが今の円安につながるので、この先、日銀の金融政策がどうなっていくかもポイントの1つになるかなと思います。

宮司愛海キャスター:
今後もっと円安が進んだり、株高がさらに加速する可能性はどうですか?

SPキャスター・山口真由氏:
そこは高市さんの政策がこれから先、少数与党の運営がどうなっていくのか次第のところがあって、上向きにも下向きにも両方振れていく可能性はあるよねと見ている人が結構います。