宅配便を受け取る時、荷物を玄関先や宅配ボックスに置いてもらえる「置き配」。
国は、配達の効率化を図るため、特にオートロックがついたマンションでこの置き配の利用を呼びかけている。
セキュリティの問題が懸念される中、大分県内の配送業者などを取材した。

置き配の普及により再配達が減少傾向に
現在、人手不足が深刻化する中、再配達を減らそうと国が利用を推奨する置き配サービス。
宅配ボックスなどを製造する民間企業のアンケート調査によると、置き配を利用したことがあると答えた人は2019年から2024年にかけて2.5倍以上に増加している。
一方で、宅配便の再配達率は2023年から減少傾向にあり置き配の普及が再配達の減少につながっているとみられる。

配達現場に記者も同行
実際に配達業者『AEトランスポート』に同行させてもらい、県内の配達現場を取材すると、この日、2時間にわたって、マンションの多い大分市の中心部では玄関先や宅配ボックスへの置き配が多く見られた。
結果、20件以上の配達のうち、再配達となったものは1つもなかった。
AEトランスポートの青木貴大さんは「置き配が推進されてきてアマゾンとか置き配を主流にしているところだと、持ち戻りは減ってきている。(配達の)時間短縮になるのが一番大きい」と話す。

国はマンションのオートロックを配達員が解錠できるシステムの構築を支援
このように、受取人が不在の場合有効な置き配。
そして国がこのサービスの更なる普及を進めているのがオートロック付きのマンションである。
しかし、オートロックが解錠できなければマンションに入れず玄関先に配達物を置けないという問題がある。
この問題を解決しようと国は、マンションのオートロックについて配達員が解錠できるシステムの構築を支援しようとしている。
こうした動きを配送業者はどのように見ているのだろうか。
AEトランスポートの野田慎太郎社長は次のように話す。
「すごくよい取り組みだと思った。(配達員の)労働人口が減っていけば効率化に目を向けないとインフラが崩壊するので、その課題には向き合っていかなければいけない」

一方で、セキュリティ懸念の声も
一方で、セキュリティを懸念する声もあがっていて、AEトランスポートの野田社長は、「私たちとしては倫理教育、ドライバーへの教育は徹底していかなくてはならないと思っている。運送会社の都合だけになりすぎず、しっかりとマンションの管理人や住人の意見を吸い上げつつ仕組みを作っていくことが大切」と、配達員に向けたマニュアル作成などの対応が必要だと述べた。
また、マンションを管理する不動産業者も対応を求められている。
別大興産の福田誠太さんは「物流業界が大変なことは知っている中で再配達の問題がなくなることはいいことだと思っている。ただオートロックは誰でも入れてはいけないものなので(配達員が)入ったログや履歴が残ったりするようにならないとお客様の理解は得られない」と話す。

現在、別大興産ではスマートフォンなどでオートロックやドアの鍵を解除できるスマートロックの設置を進めている。
このスマートロックが新たな置き配のシステムが導入された場合に配達記録の保存などに役立てられる可能性があるという。
日々の暮らしに欠かせない物流の現場で重要なカギとなる「置き配」。
効率と安全性の両立が今、求められている。
