10月3日から長野県の最低賃金が1061円に引き上げられました。初の1000円超えです。アルバイトの学生などは歓迎する一方、企業側からは「経営を圧迫する」との声もあがっています。

呼びかけ:
「きょう最低賃金が上がり、1061円になりました」

松本駅前では労働局が松本山雅の協力を得て周知活動を行いました。10月3日から県内の最低賃金は時給1061円となります。

物価高を背景に政府主導で進んだ最低賃金の改定。県内も過去最大の63円の引き上げとなり、初めて1000円を超えました。

アルバイトの学生は―。

学生(飲食店):
「自分のバイト先も実際に給料上がりました。1000円から1100円になりました。やっぱり働きやすくなったなと」

学生(コンビニ):
「上がったことは聞いたんですけど、もうちょっとほしいなと、欲をいえば」

学生(飲食店):
「お金も何かとかかるので、モチベーションも上がりますし、うれしいことではある」

労働基準監督署は、最低賃金以下で働く労働者は相談してほしいと呼びかけるとともに、事業者側には賃金の引き上げを支援する複数の助成金制度があるので活用してほしいとしています。

松本労働基準監督署の署長:
「事業主は、これに対応いただくのは大変ご苦労もあるかと思います。いろいろ支援策も設けております。活用いただいて、最低賃金への対応をお願いしたい」

温泉旅館はー。

千曲市の温泉旅館「圓山荘」。働く人の大半およそ45人はパート従業員です。

その一人、40代の女性従業員は、共働きで子育て中の母親です。

女性従業員:
「高校3年と高校1年の子がいるので(賃上げは)大変うれしくありがたい。(月々)2~3万円は上がると思う」

物価高もあり賃金アップを歓迎しますが、複雑な思いも…。

女性従業員:
「正直、もう少し上げてもらえたらと思っていますが、倒産の不安、(経営的な)人件費の限界の問題なども関係してくると思います」

「圓山荘」では、最低賃金の引き上げで年間数百万円規模の人件費増を見込みますが、宿泊費へのさらなる価格転嫁は客離れを起こしかねず難しいといいます。

圓山荘・竹本博昭社長:
「宿泊単価は既にかなり全国的に上がっています。(料金を上げれば)お客さまの数が減っていくのではないかと懸念」

物価の高騰などで宿泊費はコロナ禍前からすでに2割上げていますが、宿泊客はコロナ禍前の8割程度までにしか回復しておらず、負担増が重くのしかかります。

サービスの維持には人手も必要で、機械化などにも限界があるということです。

圓山荘・竹本博昭社長:
「従業員の所得を上げながら(今後)旅館を長く続けていけるか、これからの課題だと感じています」

長野放送
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