実りの秋を迎える中、米沢市の舘山地域で、特産のリンゴを有効活用した商品が注目されている。「舘山りんごを新たな形で届けたい」そこには農家の思いが詰まっている。
(リポート)
「かわいらしいリンゴのオブジェが目印のこちらのカフェで、環境にやさしいドリンクが販売されています」
米沢市舘山にある「よってってCAFFE(カフェ)」。
100年続く地元の農家が営むカフェで、果物の店頭販売のほか園地で収穫した旬の果物を使用したスイーツを提供している。
今の時期は特産の「舘山りんご」を使ったパフェやリンゴあめが人気。
(よってってCAFFE・中山城樹さん)
「リンゴを使ったメニューがたくさんある。その中で今回、新メニューとしてリンゴを使ったクラフトコーラを作った。すべて天然由来で無添加、体にやさしい。お子さんからお年寄りまで飲める飲料・清涼飲料水」
パッケージが何ともかわいらしいクラフトコーラ。
2025年6月にサクランボを使って作ったのが好評で、夏はモモ、秋はリンゴと、季節ごとの果物で作ることにしたそう。
使うリンゴは傷があるなど、そのままでは販売できないものを活用している。
(よってってCAFFE・中山城樹さん)
「製品になる方は形・色がきれいなものを中心に。傷がついていたりどうしようもないものはコーラにまわす。そうすると無駄が省ける」
「収穫した果物を余すところなく使い、いろいろな方法で楽しんでもらいたい」
クラフトコーラを開発したのには、農家ならではの思いがあった。
(よってってCAFFE・中山城樹さん)
「商品にならないものはジュースにすることが多いが、うちはジュースとまた別のやり方で無駄にしたくない。すべて商品にして客に提供したいというのが一番。舘山りんごは昔はそれなりだったが、だんだん規模が小さくなっていく中で、違った形で表現できればというのが始まり」
クラフトコーラに使うリンゴは収穫後、川西町へ。
障害がある人などの就労を支援する「B型事業所」で加工されている。
カットしたあと数種類のスパイスを加えてじっくり煮だす手間のかかる作業。
瓶詰めまですべて利用者が手作業で行う。
環境にやさしいだけでなく、「農福連携」も叶えたリンゴのクラフトコーラ。
早生品種「涼香の季節」で作ったコーラをソーダ割りでいただいてみる。
(リポート)
「まずスパイスの香りがふわっと広がって、その後にリンゴの甘み・爽やかさが来ます。とってもおいしい」
ソフトクリームを入れてコーラフロートにしたり、原液のままヨーグルトにかけたり、ハイボールで割ってもおいしいという。
(よってってCAFFE・中山城樹さん)
「いろんなアレンジ力ができポテンシャルも高いので、できれば品種ごとに違ったものを作っていきたい。いろいろ試してもらえたらうれしい。館山りんごをもう一度注目してもらいたい・別の角度からという思い。ひと役買ってほしい」
リンゴのクラフトコーラは「よってってCAFFE」で味わえるほか、150ミリリットルが1800円、100ミリリットルが850円でカフェ店頭とホームページ、観光物産館「上杉城史苑」で販売されている。
リンゴとコーラ、少し意外な組み合わせだがおいしそう。
スパイスの中にシナモンなども入っているので、リンゴとの相性は抜群だった。
食品ロスの対策だけでなく、農福連携も考えられていて、未来が広がる飲み物。
2025年は暑さの影響などでリンゴの生育が1週間ほど遅れていて、いま中盤の品種が出てきているという。
収穫期は12月まで続き、よってってCAFFEでは“ふじ”などほかの品種でもコーラを作っていきたいと話していた。