福島県国見町、午前8時。開店1時間前の「道の駅国見あつかしの郷」で、農家が次々に並べていたのは朝に収穫されたばかりの新鮮なシャインマスカット。今年は大豊作で、お手頃な価格になっているという。
■福島県の内外から多くの人
開店すると、広い売り場の前で多くの人が足を止め、真剣な表情でシャインマスカットを選んでいた。中には福島県外から来た人もいた。埼玉県から来た人は「いっぱいあるから悩む」と話す。
また、カゴ2つ分を購入した茨城県に住む女性は「友人がすごく国見の果物が好きということで注文を受けて、あるだけ買ってきてくれと。すごく安いですね。スーパーとかに比べて3分の1くらいかな」と話した。
■今年は大豊作
高級品のイメージもあるシャインマスカットだが、ここでは1000円前後と手に取りやすい価格のものが多く並ぶ。
その理由について、道の駅国見あつかしの郷の副店長・佐藤尭彦さんは「出荷者が増えていて、それに加えて今年はだいぶ豊作。お求めやすい価格のものが多くなっている」と説明する。
■10月いっぱい味わえる
売り場面積を2024年よりも3割ほど拡大したが、それでも置ききれないほどの大豊作。もちろん味も、収穫期の9月中旬に夜間と日中の気温差が大きかったことで甘みも増しているという。
一粒一粒が宝石のように輝くシャインマスカット。副店長の佐藤さんは「出荷量にもよるが、10月いっぱいはお楽しみいただけるのでは」と話す。
■農家も注目!シャインマスカット
シャインマスカットの出荷が増えている背景のひとつに、ここ数年で農家が次々と栽培に取り組み始めたことがあげられる。
道の駅にシャインマスカットを搬入した、松浦農園の木口和香子さんもその一人だ。「元々はモモやリンゴをつくっている農家だったが、5~6年前ぐらいからシャインマスカットを作り始めるようになった。納品をしていると、以前よりもたくさん並んでいると実感している」と話す。
シャインマスカットは、種がなく皮ごと食べられるため需要が伸びていることも栽培を後押ししている。
シャインマスカットの栽培面積は、2015年の7.3ヘクタールに対し、2023年は51.8ヘクタールと約7倍になっている。
福島の新たな秋の味覚として、これからますます注目されそうだ。