福岡県柳川市の専門学校で2023年、バーベキューの火が燃え移り男子生徒が死亡した事故の裁判で、業務上過失致死の罪に問われていた元教員助手の男に2日、執行猶予付きの有罪判決が言い渡されました。
事故が起きたのは、柳川市の「ハリウッドワールド美容専門学校」。
2023年5月、生徒や教師の親睦を深めるため約480人が参加してバーベキュー大会が開かれていたさなか、コンロの火が突如、炎上したのです。
炎は近くにいた生徒4人に燃え移り、このうち当時18歳の男子生徒が死亡しました。
炎上の原因は、当時教員助手だった男がコンロの火力を上げるため消毒用アルコールを投入したことでした。
実験ではアルコールをコンロに注ぎ入れると火が大きく燃え上がり、消防隊員の背丈ほどの高さまで上りました。
火気厳禁の消毒用アルコールを注ぎ入れたことで火が吹きあがると、コンロの風下にいた生徒4人に燃え広がったということです。
業務上過失致死の罪で在宅起訴された元教員助手の男は初公判で起訴内容を認め、検察は「火が広がる可能性は予見できたものであり、過失は大きい」として禁錮1年6カ月を求刑していました。
2日に開かれた判決公判で福岡地裁の岡本康博裁判長は「コンロにアルコールを投入するという極めて危険な行為に及んだ過失の程度は大きく、非難は免れない」と指摘しました。
一方で「遅刻を理由に(当時の)理事長から退職届を書かされるなど行き過ぎた指導があった」とした上で、「火起こしにアルコールの利用を発案したのは理事長であり、被告が理事長の叱責を恐れたのは理解できる」「『被告1人の責任』とまでは言えない」などとして、元教員助手の男に禁錮1年6カ月、執行猶予3年の判決を言い渡しました。