男性職員とのホテル密会が問題となっている、群馬・前橋市の小川晶市長。

相手の男性職員は9月25日付の人事異動で、課長職から副参事職へ降格処分したことが29日、分かりました。

小川市長は自身の進退について、「第三者とも相談しながら考えていきたい」としています。

2025年2月ごろから10回以上、市の男性職員とホテルで密会していた小川市長。24日に行われた会見以降、いまだ進退を明らかにしていません。

そうした中で、一部の議員からは市長を擁護する声も出てきています。混乱する市政。この問題は解決するのでしょうか。

今回、前橋市民55人をはじめ、市長と親交の深い関係者を取材しました。

混乱する前橋市。解決へ、ある共通点が浮かび上がってきました。

30日朝、前橋市役所に登庁する小川市長に対し、記者からは「市民から苦情の声も届いているかと思います。説明する場を設けるつもりはありますか?」と質問が飛んだが、市長は無言で庁舎に入り、進退に関しての発言はありませんでした。

千葉県・匝瑳市出身の小川市長。大学を卒業後は、弁護士として前橋市内の法律事務所に勤務していました。

そして、2011年には28歳で群馬県議選に出馬し当選。

県議会議員を4期勤めると、「教育」や「福祉」に力を入れる政策を掲げ、去年の市長選に無所属で出馬しました。

“保守王国”といわれる群馬県で現職の市長を破り、初当選。選挙戦について「私の力ではなくて、本当に市民のみなさんが一人一人自分の選挙のように戦っていただいて。こんなにも市民の力は強いんだというのが示せた7日間だったと思います」と振り返りました。

初の女性市長誕生ということで、話題を集めた小川市長。

県議時代から、自身のプライベートや考え方を積極的にSNSで発信し、市民に寄り添う姿勢を見せてきました。

小川市長は自身のYouTubeチャンネルで、高校時代のあだ名を聞かれると、「ベアキラー(bearkiller)って先輩につけられた、少林寺拳法部だったからかな」と回答。「「携帯をよく忘れて怒られたりするんですよね、お財布もたまに忘れることあるからな…忘れ物が多い」と自己分析し、弱みはあるかと聞かれると、「よく泣く、泣き虫、共感してすぐ泣いちゃう所は恥ずかしいから泣かないようにしようと思ってるんですけど…これ弱み?」と答えていました。

“涙もろい”一面があるという小川市長。自らの過去や性格について「猪突猛進なところとかですかね、慎重さがたりない」「やらなくて後悔していることあんまりないですかね、やって後悔していることの方がいっぱい、失敗してることが多い気がします」と明かす場面もありました。

去年1月に前橋市内で演説した際には、「本当に市民のためになる政治をどうやって実現していくのか。それが市民の皆さんと一緒に作っていくしかないと思っています」と話していた小川市長。

市民は進退についてどう思っているのか聞いてみると、「辞めるべきだと思います。あそこまでいったら辞めるべき、恥ずかしいです全国的にも」「みんなあきれてますよ、情けないって」という声や、「辞めた方がいいんじゃないかなって、なんかクリーンな印象が無くなっちゃってるんじゃないか。やっぱりそういったモラルとか市長という公人の立場なわけですから」「前橋市が悪くなっちゃって、イメージが悪くなっちゃったかなって…」といった声が寄せられた。

今回、取材班が前橋市民55人に市長が「辞任するべきか」聞いてみると、「辞めるべき」と回答したのは半数以上の29人。一方、「やめなくてもいい」と答えたのは20人と、市民の間でも意見が割れました。

市役所内で弁当販売をしているという男性は、「(小川市長は)サンマの海苔弁買ってもらったりとかねご本人が来ていただいて。いつも笑顔で明るい感じの方ですよね」と市長の印象について語った上で、「皆さんのバッシングがあまりにも酷すぎて。魔女狩りみたいになっているので行き過ぎの面はあるかな」と話しました。

今回の問題で、影響が広がり始めています。

28日に前橋市内の公民館で開催予定だった市民との交流イベントが当日直前になってキャンセルになったといいます。キ

さらに、これまで市長が力を入れてきた市民とのタウンミーティングも、今回の問題を受けて直近の開催が中止になりました。

こうした状況について、前橋市は取材に対し、「報道以降、小川市長は15件の公務を欠席していて副市長が代理で出席しています。市民からのご心配やお叱りの声は真摯に受け止めております。今後は信頼回復に向け、誠意ある対応を進めてまいります」と答えました。

会見以降、この問題について、沈黙を貫いている小川市長。

前橋市民からは、「袋叩きにあう感じですよね。一般的にネットの社会で言われちゃいますよね。あることないことが。女性の方が冷たい目で見られる感じがします」という声や、「今辞められても困ります」「本当に良くなってきているのに…」「始まったばかりなのに、ここで辞められたら逆に前橋市にとってすごい痛手」という声も上がっています。

小川市長は会見で、「駐車場まで公用車で送ってもらった」と説明しており、今回の問題は、あくまで”プライベート”のものと切り離すことはできるのでしょうか。

名前を伏せることを条件に取材に応じた、小川市長が県議だった頃から親交のある前橋市議は、「どの方が市長であろうと、もしプライベートでそういうことがあったとしたら、『政治』と『市政』と『プライベート』は違うものなので、攻め立てるつもりもないです。仕事してくださればいいですよっていうところなので、市政を止めないような行動をみんなでして行くっていうことが(大事)」と話しました。

前橋市にはこれまで、苦情や抗議の電話が3856件入っているといい、専用の窓口を設けるなど対応に追われています。今回の問題は、どうすれば解決できるのでしょうか。

小川市長と親交のある前橋市議は「ちょっと軽率だった行動に関してはしっかり反省して頂いて、今後ないようにして頂いて。(小川市長には)しっかりと市政運営を進めて参りますというところを言っていただくっていうのがいいんじゃないかな。本人が決めることであって、それを聞いて私たちがどう動くかってことだと思う」と話しました。